だだもれ

2014年05月31日

糖質を完全に断つと血糖値は30くらいまで落ちるらしい。 しかし、今日の測定値は空腹時で90を超えていた。 これは単純に糖質制限が甘いか、蛋白質が多すぎたかだ。 全然ケトン食になってない。

蛋白質:脂肪の重量比が1:1くらいではまだまだケトンが足りない。

2014年05月30日

「ヒトはなぜ太るのか」を読んだ。これ一冊で糖質制限懐疑派はある程度黙る のではなかろうか。

久しぶりに頭ににきびが出来た。糖質を食った疑いがある。そういえばダルい。 変なものは食べていないはずだが、 考えてみればパンの消費量が多い。 ひつじこが焼いていた頃は貴重な資源のように思えてあまり食べなかったのだが、 自分で焼くようになって気にせず食べるようになったのだ。 これは調べておく必要がある。大豆粉、グルテン、ふすま、と いかにも低糖質な素材から作ってはいるが、実際どの程度糖質があるかは 確認していない。

ユウテックのサイトに表示 があった。100gあたり、大豆粉の糖質量は13g。 ふすまが10.2g。グルテンが8.3g。 パンの使用量は、ふすま100、大豆粉140、グルテン140だから、 総糖質量は10.2+18.2+11.6=40g。 半分食べれば20gだ。どうやら濡れ衣か。にきびが出るほどじゃない。

いや、塗ったピーナツバターも怪しいぞ。 スキッピーのサイトによれば、32gあたり炭水化物5g。 100gあたりに直すと15.6g。 ここには繊維が含まれているので、糖質の量を推定しなければならない。 ヒントになるのは蛋白質の量だ。これが9gで、100gあたりだと28g。 落花生はwikipediaによれば100gあたり、蛋白質が26g、 炭水化物が16g。そのうち繊維が8.5gだから、糖質は7.5g。 おおよそ、素の落花生と蛋白質量と炭水化物量が同じであることから、 スキッピー中でも糖質は8g未満だろうと想像できる。 砂糖はあまり入っていないのだろう。 そしてこの程度の量なら犯人とは考えにくい。だいたい100gも塗らないからな。

じゃあ何だろう。ミートガイのソーセージか?まさかあれ、結構澱粉多いのか? つなぎに使われているのは確かだが、量はわからない。 これは血糖測定する必要があるな。場合によっては弟に送るわけには行かなくなる。

血糖測定予定。アーモンド。生の片栗粉。煮た片栗粉。うちのパン。 ミートガイのハンバーグとソーセージ。

2014年05月29日

トイレでストライヤー生化学を読む。図書館で借りられた。

糖から脂肪は作れるが、脂肪から糖は作れない。 糖が全く使えない状況では脂肪を燃やせないが、 脂肪にはグリセリンが含まれており、これは糖にできる。 だから脂肪だけ食べていても一応脂肪は燃やせる。 問題は足りるかどうかだ。足りなければ蛋白をバラすことになる。

血中の脂肪酸は脂肪細胞に溜め込まれる、としか書かれていない。 脂肪酸の種類によって挙動が違うのかどうかもわからない。 合成したものと食べたままのものの比率もわからない。

脂肪細胞に溜め込まれるには、脂肪細胞内にブドウ糖が たくさんないといけない。それを使ってグリセリンを作るからだ。 血中にブドウ糖がたくさんあっても、インスリンがないとブドウ糖を取り込め ないので、脂肪の蓄積は起こらない。インスリンは太る。

インスリンが出なくなると、血糖を使えという司令が出ない。 脂肪酸を使い続けてしまう。 脂肪細胞も血糖を取り込まない。余った血糖を脂肪酸に変換しようともしない。 血糖値が増えること以外にあまり不利益はない。 せっかくふんだんにあるエネルギーを寝かせてしまう、 ということは野生においては不利だが、 文明においてはさしたる不利でもない。 血糖値が高いことがもしそれほど問題でないのであれば、 躍起になってインスリンを入れるよりは放っておいた方がいい気はする。

2014年05月28日

そのうち癌をネタにして本を書こうかなあと本気で思う。 弟が生き残れれば、それが糖質制限の恩恵である確率はかなり高いから、 それを伝えることにはたぶん意味がある。 また、癌や糖尿病を理解することは大切だが、 一般向けでそこをちゃんと理解させようという気迫に満ちた本が見当たらない。 何が仮説なのか、仮説が多くある時にどうやって選択するのか、 といったことも必要だ。 断言できることなどこの分野にはほとんどないわけで、 重要なのは論理の方だ。結論がいくらでもひっくり返ることが 読んだだけでわかるような本がいい。 でもまあ、3年は先だ。

2014年05月27日

テトリス本の増刷が決まったが、アマゾンの順位はあまり良くない。 しかしまあ、ともかくも1万は超えた。爆死ラインは超えたわけだ。 出版者にとっても優良商材となる。

網膜症の原因は高血糖かインスリンか、はたまた両方か。 血糖以上にインスリンが悪いのではないかという仮説がある。 治療していない糖尿病の人の網膜は綺麗なことが多いが、 インスリンを入れている糖尿病の人は網膜症が多く、 治療前綺麗だった網膜が治療開始後に悪化するケースもある、 という経験から出てきた仮説だ。 さて、これを検証するにはどうするか。 まず血糖とインスリンを分離しなければならない。 例えば、網膜症になったがインスリンが働いていない人を 見つければこの仮説は間違いとなる。 弟は網膜症になるまで糖尿と発覚しなかったのであって、 それまでは治療していなかったので追加のインスリンはない。 この範疇に入りそうにも思える。 しかし、治療でつっこまれなくてもインスリンは自力で出せるわけで、 そう簡単ではない。 実際、肥満しているということは、肥満するだけのインスリンの作用歴があるわけだ。 糖質摂取量が多くてインスリンが追いつかない、 という場合、インスリン分泌能がそこそこある状態のままで糖尿病になる。 この説明が妥当かを知るには、 糖尿病の人を肥満しているかで分類して、 診断時に網膜症だった人の割合を比べればいい。 肥満した人に網膜症が多い場合、この説明はもっともらしい。 肥満せずに糖尿の人は、大してインスリンを出さないうちに膵臓がへばっているので、 もしインスリンの方が血糖よりも問題なのであれば、 こういう人は網膜症が少ないということになる。 しかしこれも、痩せてる人は血糖の累積量は少ないはずで、 血糖単体で網膜症を起こすとしても、太っている人よりは軽くなる、 という説明はできる。 しかし根本的に、血糖とインスリンは完全には分離できないな。 膵臓が壊れている人でも、壊れていない時代はあったわけだし、 インスリン治療をする人は、しない人よりも糖質に耐えられるので、 その分食べてしまっているかもしれない。そうなると条件が揃わない。

やっぱり糖質制限すれば関係ないなという結論。血糖もインスリンも下がる。

腹が減った。帰って、ふすまパンにカルピスバターを乗せて食べる。 恐ろしくうまい。明治バターの1.5倍の値段は伊達ではない。 しかし、そんな贅沢が許されるかどうかは難しいところだ。

ストライヤー生化学が図書館にあったので予約。

2014年05月26日

見舞い。105mgのドセタキセルとシスプラチン。750gmの5FU。 薬の調合待ちで1時間ほど遅れたりして、病院というもののシステムが 垣間見えた。

2014年05月25日

糖質制限には幅がある。ゼロを本気で目指す流派もあれば、 食べてはいけない食材を決めて後は自由にする流派もあれば、 食べられる量を計算してそこまでは何でも食べる流派もある。 好みで選べばいい。 食べ物にそもそも執着がなく、空腹に耐えるのが苦にならないなら、 容易にゼロにできる。 逆に、どんなに面倒でも今主流の食文化に触れ続けていたいと思い、 食べすぎる誘惑を払いのける強さがあるのであれば、 計算しながらやっていくこともできるだろう。家族と同じものを食べることや、 味覚を満足させることに大きな価値を見出すのであれば、そのコストは払える。 しかしまあ、普通に考えて、この二つの極端を選ぶのは大変だ。 ゼロにしようとすると使える食材が激烈に減る。自炊しなければほとんど不可能だ。 それができないなら食べない、とする強さがいる。 一方で、何でも食べられるとしても量を計算するのは煩雑だし、 何でも食べられるがゆえに誘惑から逃れ難く、 糖質が多い食品への依存性を断ち切ることもできない。 食べていいものを決めるというやり方は、 食べていいものにはいくらでも逃げられるし、 肉体的な依存性もかなり弱まる。 糖質は何と言ってもうまいので、少量食べて良しとするのは難しいのだ。 食べない、と決めてしまう方が、何グラムまで食べていい、 とするよりよほど簡単なように思える。そして食べなければ、 依存性はかなり弱まり、後が楽になる。

キツいのは家族に低糖質食を押しつけられないケースだろうなあ。 米がうまくて仕方なく、一緒にそのうまさを味わいたい、 という嫁さんがいた場合、自分だけ食べない、ということすら 嫁さんにとっては辛いことになる。共感が壊れてしまう。 まして、嫁さんにメシを作らせている場合はなおさら問題になる。 うちの場合、糖質制限の恩恵を受けるのは私よりもむしろひつじこで、 米への執着もなく、また料理をするのは主に私なので、 この問題がない。また、私の実家の場合、 「それしかないならそうする」という単純な考え方ができたので、 文化やら習慣やらをかなりあっさりと捨てられた。

あの病院に行ったのは当たりだったなあ。 糖質制限が本当に癌に効くかはもはや問題ではなく、 あんだけ自信満々に糖質食べなけりゃ癌が増えたり再発することはないと 断言されることが重要だった。 「まあそうかもしれんな」と思えればいい。 いずれにせよ糖質を断たねば糖尿は改善しないのであって、 癌に効くかどうかと糖質を断つかどうかは関係しない。 しかし、どうせ断つなら余計な効果を期待できる方が気分もいいし、 覚悟も決まる。それに、今は何かしらの希望がないと辛すぎる状況なのだ。

もちろん、たぶん効くだろうという思えるだけの根拠があることも重要だが。 癌細胞は糖質を中途半端に燃やすことで、分裂のための材料を得ている。 仮に脂肪を燃やせる癌細胞がいたとしても、脂肪は二酸化炭素と水に なってしまって材料が残らない。 そして、脂肪を燃やすにはミトコンドリアを使わねばならず、 こいつは活性酸素を大量に出す。癌細胞は分裂を優先する余り 修復がまともに働いていないため、活性酸素で死にやすい。 従って、脂肪を燃やせる癌細胞がいたとしても、生存には不利になる。 理屈の上では糖質カットは癌の勢いを削ぐはずである。 もちろん、他のものを食えるように進化する奴は出てくるだろう。 例えばアミノ酸のグルタミンを食えるように進化することが知られている。 しかし、問題は量だ。グルタミンが大量に血中にあるならともかく、 そういうわけでもなければ分裂の勢いは弱まる。

確かに、癌は進化するので、状況が不利になればそれを克服する奴は必ず現れる。 それをもって、下手に癌に不利な状況を作ると、より強い癌細胞が現れて かえって悪い、と言うことはできなくもない。 実際、抗癌剤によって癌細胞に不利な状況を作るやり方は、 せいぜい数ヶ月破局を延ばす効果しかない。 しかし、ブドウ糖を断つアプローチがそれと違うのは、 食えるものが減る分だけ分裂は遅くなる、ということが保障されることだ。 他の何を食えるようになろうと、ブドウ糖食べ放題な状況よりは 分裂は遅くなる。耐性もクソもない。 そして、癌はつまるところ、速度を落とせればそれでいいのである。 増えなければ死なない。増えても、殺す速度が勝れば死なない。

抗癌剤は、正常細胞を巻き添えにしやすいものほど耐性を獲得しにくい。 極端に言えば「熱で焼く」ということには耐性は獲得できない。 原始的な抗癌剤は分裂しようとする細胞なら何でも殺すので、それに近いものがある。 しかしもう少しマシな抗癌剤になると、細胞の中からうまく排出する機構を 発達させることで耐性を獲得できる可能性が出てくる。 巻き添えが小さいということは、癌細胞でだけ動いている機構を 認識して攻撃するということだ。癌細胞から見れば 防御すべきポイントがはっきりしているということになる。 分子標的薬のようなものはなおさらそうで、 ある蛋白質の形をちょっと変えるだけで回避できる可能性がある。 こうなると下手するとノーコストだ。耐性という機能を持つ分だけ 余計にエネルギーを食ったり分裂が遅くなったりすることもあるが、 そういうコストなしで耐性を獲得される可能性があるということである。 副作用が軽ければ、その分効き目がイマイチでも正当化されるかもしれないが、 今度は金が問題になる。分子標的薬の類はとにかく高いのだ。

薬で癌をどうにかしようというアプローチはたぶんうまく行かない。 今よりはマシになるだろうが、癌細胞の進化に追随できない以上、 いつか効かなくなる。免疫で癌を克服しようという方向が 流行りなのは、皆がそう思っているせいだろう。 免疫なら進化に追随できるからだ。 しかし、エネルギー源を減らす、というアプローチには耐性もクソもないという 利点がある。そして、エネルギー源を減らすことは、 細胞を分裂モードから維持モードに切り替えることにつながり、 癌細胞に余計な分裂シグナルを与えることも避けられる。

精巣腫瘍について調べることでシスプラチンの毒性がどの程度かわかる ことに気づいた。精巣腫瘍は若い人に出る。 だから、年齢が違いすぎてサンプルにならない他の癌とは異なる。 また、シスプラチンの量が多い。20mg/m^2を5日間やるのが1セットで、 これを4回くらいはやる。合計400mgとかになるわけで、 弟の最大210mgよりずっと多い。 で体験記その他を調べた感じ、 難聴はそれほど出ていない。出ていても気づいていない程度と思われる。 また、造精機能も保たれているケースが多いようで、 治療後に子供を作った人が多い。文献によっては70%などとある。 少し安心した。

ただ、不安なのは吐き気の程度だな。20mg程度でもひどい吐き方をしている。 弟はこれが70mgだ。体重が重いので総量も多い。 最新の吐き気薬であるイメンドは一日分4000円とかするが、 それが効くなら出してもらおう。

「素粒子論はなぜわかりにくいのか」を読んだ。 これがわかりやすく思えるくらい他がわかりにくいんだな。 ただ、「粒子じゃなくて波、条件が合えば粒子に見えるだけ」 とはっきり言っている点はいい。CGやってる人間はわかりやすいかもしれない。 ポスプロのフィルタを整数で計算することを想像すればいい。 浮動小数で計算すれば明るい画素もいずれ溶けてしまうが、 整数なので溶けず、少ない画素に明度が集中した状態が保たれる。 その状態で動いて見える光点を粒子と呼んでいるだけのことだ。

つうか、これを応用してポスプロ整数でやったら 何か新しいこととか便利なこととかないかな。 パーティクルを粒子の実体を持たずに計算できたりせんか? そうすると粒子数に比例する負荷がゼロになり、 ピクセル数だけで負荷が決まるようになる。

「さよならタマちゃん」を読んだ。漫画は感覚的なところが伝わるので、いい。 親に渡しておこう。弟が読むかどうかは知らない。

とりあえずイメンド出てるか確認するように弟にメール。 ものすごく効く吐き気止めらしい。 もっとも、それがあってもひどいようだが。 シスプラチンは初日に70つっこまれてそれっきりなのと、 毎日20づつ5日間つっこまれるのとどっちがキツいんだろうなあ。 というか、3クールって相当苦行なんじゃなかろうか。 弟にはうまくやりすごしてもらう他ない。 打てる手は打つにしても、始まってしまえば本人にできることは やりすごすことだけだろう。がんばっちゃいけない。 何もかもスルーするしかない。気合を入れることで生存率が高まる なんてこともあるまい。マイナス思考はダメだが、 プラスもエネルギーを使う。

ワセリンカットは恐ろしく落ちるな。ワセリン関係なく、 普通の洗剤で落ちないものに使うと効果的。 ただし、湯でないと溶けないのでそこそこ面倒は面倒である。 また、一晩漬けておくなら時間もかかる。 すぐすすいでもそこそこ落ちるのだが、 高い洗剤を有効活用するなら漬けておく方がいい。

精巣腫瘍は原発巣さえ切れば、後は薬で完治できるのか。 癌細胞をゼロにできるということなのか、 十分免疫で叩ける数まで落とせる、ということなのか。

2014年05月24日

治療続行を決断。シスプラチンの副作用は軽く済むことを祈る他ない。

昨日朝からがんセンターに行って、内科医の説明を聞いた。 診察していた医師ではなく、たぶんその弟子。 若い分だけいろいろと知らないことも多かったが、 話はしやすかった。もっとも、それが治療に影響してくれるかどうかは わからない。点滴の種類を変えることはないだろうな。

まず使う薬剤の確認。ドセタキセル70、シプラチン70、5FUを750。 ドセタキセルを使う分だけ、残りの二つが少し減っている。 また、ドセタキセルは糖尿病のことに配慮して、この80%まで減量される予定。 ドセタキセルを使う際は最大3回やるので、 シスプラチンの合計量は210。合計量が300を超えてくると難聴の発生率が 高くなってくるという話なので、その前に留まるのは確かだ。 しかしそれで出ないとは限らない。これは祈るしかない。

効くか効かないかの判定は、最初に抗癌剤をつっこむ日を1とした時に、 14日目あたりに行う。内視鏡とCT。PETを使う意味が薄いというのはすでに 聞いているので、これでいい。

点滴は主にソルデム3A。ブドウ糖を1Lあたり50gくらいはつっこまれるので、 血糖値が上がることは避けられない。 加えて副作用抑制のためのステロイドが糖新生を上げ、筋肉でのブドウ糖の 利用を抑制する。なおさら血糖値が上がる。 しかしこれに対する対処はある。メトホルミンは糖新生を落とし、 アクトスは全身でのブドウ糖の利用を上げ、スーグラが 血中のブドウ糖をとにかく尿に捨てる。 こいつらの活躍に期待する他ない。しかしそれにしても、 HbA1cの改善は期待できないだろう。ペースは鈍る。 せめてブドウ糖のない点滴でやってくれればいいんだが、 糖をつっこむ何らかの理由があるんだろうしなあ。 しかし、2回目の前には一度問い正しておこう。 特段理由がないならブドウ糖を抜いてもらいたい。

あとは副作用対策。冷やしておけば薬が回りにくくなる。 気休めかもしれないが、口の中に氷を含んだり、 手足や精巣を冷やしたりすることに効果があるかもしれない。 そういった配慮をおねがいした。

それはそれとして、血糖の改善は順調で、22日の値が7.5だそうだ。 3週間で1以上落ちたことになる。来週は下がらないだろうが、 その後2週間で0.5くらい落ちれば6台まで到達する。 手術までにには6を切るところまで落ちるだろう。 糖尿の医者には是非ともこの効果を認めてもらいたい。

根本的なところの話もした。食道腺癌では術前療法が術後療法に 比べて優れているという証拠はない。それでシスプラチンのように キツい抗癌剤をつっこむ術前療法を選ぶ理由は何か?という問題である。 これに対しては明確な答えをもらえた。 まず、術後療法は大抵中断してしまうこと。 また、術後療法が標準になっている胃癌であっても術前療法の方が 有効なのではないかという話があり、現在試験中であること。 そもそもほとんどの癌に関して術前の方が有効なことが疑われており、 試験が多く行われていること。つまり、まだ結果が出ていないだけで、 おそらくは術前の方がいいのだろうという雰囲気になっている。 まあ調べて出てくる範囲ではあるのだが、それを医師が言ったことを重視したい。 感覚や経験込みでそう思う、ということだろう。

抗癌剤は月曜からで、金土日とやることがないので、 こんなところにいても仕方がなかろうと、一旦家に帰ることを提案した。 明らかにへばっている患者がうようよいるし、 弟によればトイレからゲロを吐く音が聞こえたりもするらしい。 そんな所で過ごす時間は短いほどいい。 医者は「え、マジで?」という感じだったが、本人に「帰りたいよな?」 と言ったところ「うん、まあ」という感じだったので 早速手続きして外泊許可を取り、親を呼びつけた。 福島から柏まで2時間くらいかかるので大変だろうから、 なんなら電車に乗せて帰すが、と親に言ったのだが、 ブツブツ言いながらも車で来た。いわゆるツンデレという奴である。 来た親に医者と話した内容を説明して、解散。

やることはやったと思う。見落としがある可能性はあるし、 実際点滴のブドウ糖に関しては問い正すチャンスがなかったのだが、 たぶんあれは変えられないので今回は仕方ない。

家に帰ってきて、会社。出荷スケジュール的な会議をやってたので参加。 それが片づいた頃にひつじこからメール。「臭いがない」。 ひつじこの病弱属性は困ったものだなあ。即座に耳鼻科。

嗅覚障害は、詰まってるか、神経がやられたかのいずれかである。 調べた範囲、いきなり臭いが消えるケースでは詰まってるケースが多いようで、 これは詰まりが取れれば治る。徐々に消えていくケースでは ウィルスに壊されていることが多く、なかなか治らなかったり、 そもそも治らなかったりする。なお、ひつじこの母上も嗅覚障害があって、 しかもかなりの期間続いてしまっている。いろいろ他にも健康上の問題があるので、 それを除かないと回復は難しいんだろうなあと思う。

念のため精油を注文。レモン、ラベンダー、オレンジ、ローズマリー。 神経がやられた場合、こういうものを嗅いでいると回復しやすいと聞く。 本当かは知らないが、これが必要になるとしたら年単位の戦いになる。 そうならないでほしい。ひつじこの母上に以前送ったので、同じものを即座に 注文できた。

で、今聞いたらちょっと臭いが出てきたらしい。 カロリーゼロゼリーの容器とか。風邪が治ればたぶん一緒に治るだろう。 だが油断はできない。

ところで、シスプラチンは抗癌剤の中ではとりわけ良く使われる。 DNA合成を邪魔する効果が凄まじいからだ。 何と言っても分子量が小さいのがいい。どこまでも行き渡る。 それだけに副作用、というか毒性が凄まじい。 こいつの吐き気を催す効果は地上最強だという。 不可逆的な障害を残す率も他の抗癌剤とは比較にならない。 嗅覚や聴覚、味覚などの感覚系をブチ壊し、 生殖機能も破壊する。 この凄まじい副作用をどうにか緩和しようといくつかのものが開発されはしたが、 肝心の効果が落ちることが多いと聞いた。 分子量が大きくなってしまうからだという。 しかし、多少効果が落ちても、永続的な障害を除けるならそれでもいい気はするがなあ。 そういうのに取り替えちゃダメか?と医者に聞く手もあったかもなあと思うが、 たぶん保険適応から外れる。

2014年05月23日

シスプラチンの副作用がヤバいことに今更気づいた。 生殖機能喪失と、難聴。不可逆じゃねえか! というか、入院してからついでのようにそういう重大なことを告げるって、 おかしくね?生き死にがかかってる時にそんなことどうでもいいだろ、 と言いたいのだろうが。

22日は病院に行くべきだった。ひつじこが熱を出したのと、 仕事がヤバい感じになっていたこともあって、行かなかったのだ。 だが、こんなことになっている。私がいれば、 その話になった瞬間に根掘り葉掘り質問していただろう。 しかし行かなかったものは仕方ない。明日行って挽回するしかない。

生き残る前提であれば、そんな副作用は困る。 しかもシスプラチンが効く確率はたかだか30%だ。 そこまでなりふり構わず毒をつっこむことが本当に良い治療なのか。 とにかく、明日行って副作用の発生率を聞いて、 医者がどう考えているのかを問い正す。 家族が癌になったとしたらこの治療を勧めるか、と聞きたい。 術前療法を選ぶ決断には、この副作用は入っていなかったのであって、 場合によっては決断をなかったことにする。 胃癌と考えて術後療法を選べば、使う薬にはシスプラチンは入らない。 現段階で術前療法の方が生存率が高いという証拠はないのであって、 「あわよくば肺癌を牽制できたらいいな」という程度の根拠しかないのだ。 ただ、栄養士との交渉で主食なしにしてもらったりと、 うまく行っている面もあるので、ご破算にして病院切り替え、 というところまでは行かずに済ませたい。 他に行ってもここより良いとは限らず、時間のロスは抑えたいからだ。 とにかく明日だ。もっとも、医者に会えるのかがわからないわけだが。 最悪脱走だよなあ。

つうか、副作用の話は治療方針を決める時に言えよと言いたい。 さすがに、「30%の確率でしか効かないくせに、 神経細胞を殺して難聴になる確率が30%とかあって、 生殖機能を失う可能性もある」、なんて話だったら今の決断はしなかったぞ。 生殖機能に関しては、症例の大半が60代以降なだけに、 そもそも調べてもいないケースが大半なはずだ。 実はほとんどのケースで生殖機能を失っている、 という可能性だってある。

ぬかった。強く言って水曜に別の病院に行かせてセカオピを取るべきだった。 いい感じならば移れたし、ダメそうならそれはそれでこのまま行くことに 自信を持てる。 しかし、そうすれば39度のひつじこを放っておくことになっただろうし、 仕事もヤバい感じになっていたかもしれない。

今更言っても仕方ない。明日だ。

2014年05月22日

弟、今日入院。やはり昨日別の病院に行っておくべきだったのだろう。 入院を延期すればタイムロスが大きいので、このまま行く決断となった。 たぶん明日あたりから抗癌剤の点滴となる。 薬だけはどうにかしたし、後は 少しでも副作用を軽くする算段をしないといけない。

昨日ひつじこが39度の熱を出した。ケトンが濃い。 脂肪の燃焼効率があんまり良くないんだろうな。 ストレスのある状況では特に。 ただ、普通の自家中毒で発熱はあまり見られないので、 今回のは風邪と合併してこうなっているのだろう。

2014年05月20日

今日(20日)は会社休んで弟の病院につきそいの予定。 糖質制限を取り入れて糖尿の治療をやってる内科医の所に行って、 糖尿病の薬を変えてもらってくる。 「医者行って今の状況に合わせた薬もらいました。こっちでもこの薬でよろしく」 とガンの病院で言うための準備だ。 癌抑制効果があると評判のメトホルミンを継続的にもらえる状況を作りたい。 いきなりガン病院の医者に「メトホルミンください」とか素人が言っても 相手にされるはずがないからな。 あと、単純にガン患者を結構見てるっぽいので、 アドバイスとかももらえるだろうし、 うまくすれば「この患者は糖質制限が適応ですよ」と一筆書いてもらえるかもしれない。 メールでそのへんのことを説明してみた。 まあがんセンターの医者が聞いてくれるかどうかは怪しいが。

なんか人類の主食は結構前から炭水化物な気がしてきた。 火の利用が10万年以上前で、下手すると100万年前くらいかもしれない。 どんぐりや穀物は土器がないと辛いが、 芋なら埋めて焼くだけでやわくなって食える。 10万年、100万年あれば、歯の形や、アミラーゼの分泌量に関する適応は できるだろう。10万年あるいは100万年くらい炭水化物を食ってきた 可能性はある。狩猟主体の種に対して、炭水化物を焼いて食べられる種は 脂肪の蓄積のおかげで飢餓に強く、生き残れたかもしれない。 うちらのご先祖はそうして狩猟主体のホモなんとかに打ち勝ってきたの ではなかろうか。ただ、100万年では代謝の根本をいじるには時間が足りない。 血糖値上昇への備えとしてインスリン以外の回路を作るだけの時間はなかろうし、 実際そういうものはできなかった。 そもそも、40年生きれば十分子孫が残せて繁栄できる状況では、 そのような備えは必要なかった。 そう考えていくと、人類は炭水化物を焼いて食えるようになったことで繁栄したが、 それが長生きするために良いとは限らない、という複雑な結論になる。 「原始人がしていたようにすれば健康」的な考え方は短絡的すぎるし、 「それで繁栄したんだからこれからもそうすればいい」も短絡的すぎる。 ヨーロッパ人には貧血を起こしやすい遺伝子が伝わっていて早死にしやすい ことがあるが、ペストが流行った時代に有利だったので残っているという。 健康に長生きするのに役立つ機能が遺伝するとは限らないのだ。 遺伝するのは子孫を残せる機能なのである。

そもそも、加熱してアルファ化した澱粉をアミラーゼで処理して食う のが前提になっている生物なんて、いるとしても人類くらいだ。 猫はアミラーゼが弱く、ロクに炭水化物が食えない。 無理に食わせれば糖尿病になる。イヌはそこそこ澱粉が食えるように 適応した狼なわけだが、それでも元の代謝系はブドウ糖を食うように できていないから限度がある。人類はだいぶアミラーゼを強化して 対処してはいるが、それでも想定以上に入ってくると処理しきれないわけで、 ネコやイヌとそれほど変わるわけではない。

糖尿病治療薬をどうにかするために、郡山のお医者さんの所に行ってみることにした。 がんセンターで私のような素人が「メトホルミン出して」と言っても 聞く耳を持たないだろうが、入院に先立って誰かしらの医者に メトホルミンを出してもらっておけば、 がんセンターでもそれが継続される可能性が高い、 と踏んだわけである。 メトホルミンにこだわるのは、メトホルミンが肝臓での糖新生を抑える薬で、 癌抑制効果があるという論文が出ているからだ。 癌細胞は主にブドウ糖を食うので、体内のブドウ糖濃度が低いほど勢いを抑えられる 公算が高い。糖質制限するのは当然としても、それだけでは 糖新生でブドウ糖が作られるのを止められない。 そこでここを抑制してしまうわけである。 脳の栄養がなくなってしまう!と考えがちだが、 脳がケトンを使えることはわかっており、多少ブドウ糖が減っても ケトンが増えて補ってくれればそれでいい。 実際、今日行ったお医者さんはそのような治療をしていることをwebで公開しており、 糖質制限を強力に推進している。 そこで事前にメールを投げておいたのである。

朝5時50分、起きてオタマの幼稚園の弁当を作る。 オタマは弁当にバリエーションを求めないので、いつものメニュー。 グリーンピースとグラナパダーノ粉の入ったオムレツ、 いんげんの醤油炒め、ミニトマト、ソーセージ、ピーナッツバター大豆粉パン。

6時20分、出発。東京駅で下の弟と待ち合わせて、 買っておいてセットアップまでしてもらっておいたmiix2 8とHDDを受け取る。 上の弟の入院暇つぶし用だ。デスクトップPCしか持っていないので、必要だろう。 あ、そうだ。いくらか言え。払うから。8時発。 その後弟はつけ麺を食ったとかツイートしていて、 「くそ!おまえも糖質制限つきあえよ!」とか思った。まあいいんだけど。 下の弟は痩せまくりなので、多少太ってもいい。 というか、つけ麺食いたくなった。食べないが。もはや願掛けの域になっていて、 とても食べられない。

10時25分、いわき勿来インターで実家の車に拾ってもらって、郡山へ。 案外遠かった。1.5時間くらいかかる。福島県デケエ。

で、診察。結論から言えば、行ってよかったし、私はこの人結構好きだ。 薬を変えてもらうという目的は果たしたし、いろいろな話を聞けたし、 もう一つ入院前にやっておくべきことが増えた。 そして、予想外に安く済んだ。13時から15時の特別相談は5000円と 張り紙がしてあったのだが、そんなの払ってない。 ちなみに、張り紙が筆で手書きなのが素敵だった。 あとは話題ごとにメモ。

インスリンをつっこむことによる低血糖のヤバさについて。 普通に死ぬレベルのヤバさらしい。健常者がアマリールを飲んで メシを食わずに寝たら、そのまま起きない、というレベルらしい。 「え、そこまで?」と思ったが、手持ちの本でもSU剤は慎重にしろとある。 脳はブドウ糖のみならずケトンでも動くので、 血糖が減ってもケトンがあるだろと思ってしまうのだが、 インスリンは脂肪合成を促進するのでそうは行かない。 つまり、ケトンから脂肪を作る方向に回路を回してしまい、 脂肪をケトンにバラす方向には回らなくなるのである。 ケトンもブドウ糖もなくなってしまう。 つまり、インスリンを出させる薬は、糖質制限を妨げるわけだ。 なぜなら、糖を食べないとエネルギー不足で死ぬ状態に追い込まれてしまうからである。 アマリールがいかにヤバい薬か、ということになるわけだな。

出してもらった薬は、まずアクトスとメトホルミンを混ぜた薬であるメタクトLD。 つまり、糖新生を抑え、 同じ量のインスリンがより効くようにしてブドウ糖の消費を促進する。 次に、スーグラ50mg。これはSGLT2阻害薬と言って、 腎臓でのブドウ糖の再吸収を邪魔する薬。つまり尿に糖が出てくるようになる。 3つとも血中のブドウ糖を減らすように働き、血糖値を下げる。 しかし、どれもインスリンを出させる効果はない。 糖質制限を邪魔しない薬なわけだ。 そして癌の抑制を期待する。

若干気になるのはアクトスで、これが癌にとってもインスリンが増えたように 振る舞うと嫌だなと思う。まあこれはメールで聞いてみよう。 2週間分しか出ていないが、その頃には事態が進展しているだろう。 別の医者が出してくれればそれでいいし、そうならなかったらもう一度行くことになる。 案外遠く、交通費が高く時間がかかるのでしんどいにはしんどいのだが、 まあそこは仕方ない。

癌の話も聞いた。元々放射線医の人なので、PETとCTを見せてどう思うかを聞いた。 ところで弟の癌発見の経緯だが、 まず会社の胸部X線で疑いが出て、地元の病院でCTを撮り、 郡山の大き目の病院で肺癌の診断を受け、これなら地元で良かろうと 地元の病院に戻り、PETをやったら食道にデカいのが見つかり、 リンパ節転移が2個と、なんか膵臓の近くに1個あってヤバいと診断され、 これはデカい所に行くべきだということでがんセンターを紹介され、今に至る。 で、今日の医者は「これ転移じゃなくね?自分なら転移とは言わないなあ」 的な感じ。とりわけ、膵臓の近くにあるんじゃないかと疑われる奴については疑いの目。 それがなかったらステージ4でなくステージ3になるわけで、勝率が全然違ってくる。 「これならがんセンターじゃなくても切れるんじゃない? つうか、そんなに腕とか関係ない」 「がんセンターみたいに専門がバラバラに出てきてやる病院よりも、 主治医が最後まで見る病院の方がいいんじゃない?」みたいな話を聞き、 最初に肺癌を診断した郡山の病院には上手な人がいるという話を聞いた。 なにせ同じ町なので面識がないわけでもなく、 あわよくば糖質制限についても多少は理解してもらえるかもしれないという。 すでにがんセンターは入院予約済みで、いつ「明日から来て」 と言われてもおかしくない状態なわけだが、 そう言われると入院前に診てもらいたくなる。 当人は「抗癌剤1クール終わった後で良くね?」などと言っていたが、 その前に診てもらって、それでそっちの方がいいとなれば、 がんセンターをキャンセルする方がいい。 単純に近くなるので楽になる、というのもある。 柏はさすがに遠い。それにあの病院は何かと消耗する。

放射線について。まず前提として、 放射線と手術で癌細胞の殺し具合が同じなのであれば、 放射線の方がいい。なにせ楽だ。痛くない。臓器が残る。 副作用は出るが、緩和する手はある。 例えば肺ならばステロイドを飲んで肺炎を抑えるのが普通だが、 肺の場合吸入にすることで使用量を減らせて効果も高いという。 ただ、放射線は通常手術ほど確実に癌細胞を消せない。 生き残りが出る。癌業界においては「再発イコール死」であり、 また、「生き残りイコール再発」である。加えて日本は手術がうまい医者が多いので、 放射線が選ばれるケースはあまり多くない。手術できないので仕方なく、 というケースが多いわけだ。

しかし、ここで「生き残りイコール再発」が崩れれば話が違ってくる。 まず一つの例として、骨肉腫があるそうだ。昔は脚を切断していた難病で、 しかも大抵は肺に転移して死んでいた。 しかしここで手術でなく放射線にした方がいいことがわかったのだという。 そのやり方がちょっと面白くて、 骨から肉をどけて、骨の腫瘍だけに強烈な放射線を当ててから戻すらしい。 術中照射という奴だろうが、骨肉腫にそれを使う例は今調べた範囲では出てこない。 なぜ放射線の方がいいかというと、手術だと癌細胞がなくなるが、 放射線だと死骸が残る。これを免疫細胞が見て敵認定できるので、 転移抑制効果があるのだという。 免疫によって癌細胞を殺せる可能性があるのであれば、 小さな癌はそれに任せるという考え方が可能で、 取り残しを恐れる必要がなくなる。 手術は傷が大きく、回復が遅く、免疫も犠牲になるので、不利らしい。 webではそういう話が出てこないが、理屈としてはありそうに見える。 しかしこちらとしてはあくまで、実例がいくつあるかが重要なので、 理屈が通るだけではそこに賭ける気にはなれない。

問題は、「免疫って効くの?」ということだ。 そもそも免疫が殺す速度を上回る速度で増えるからこそ癌になったのである。 一回負けたものに期待できると考えるのは難しい。 少なくとも、癌の勢いを削ぐ必要がある。 そこで出てくるのが糖質制限だ。 癌は増えなければ死なない。増える速度をいかに抑えるか、 と考え、それが免疫で殺す速度以下にできれば癌では死なないわけだ。 完全に「糖質制限がどれくらい効くか」の問題になる。 糖質制限が効き、癌細胞を免疫細胞が殺せるならば、 できるだけ免疫を落とさず、傷も小さい治療で癌を小さくすることが正しい選択になる。 逆に、免疫細胞が役立たずなのであれば、 多少傷がでかくなろうが、とにかく一個残さず切り取る以外の選択肢はない。 再発イコール死だからだ。

現状、糖質制限が癌に効くことを前提として計画は立てられない。 リスキーすぎる。普通の治療、つまり抗癌剤の後に手術、 というお決まりのコースをやりつつ、糖質制限もやることになるだろう。 そもそも、癌の抑制云々を考えなくても、糖尿のために糖質制限はするわけで、 やることは変わらない。

尿ケトンは朝良く出るらしい。毎朝尿ケトンが出るくらいにしとけば 糖質制限の強度は十分という感じだろうか。出ないようなら生ぬるい、 という事になる。弟にはケトン試験紙を渡してきたので、しばらく毎朝見てもらおう。

気になること。血管を傷つけるのは高血糖そのものなのか、 それともインスリンの下流にある何かなのか。 なんぼ高血糖であっても、インスリンが出ていない人であれば 網膜は正常、という話だ。 インスリンが出なくなっている人ほど網膜が奇麗、というおかしなことが起こるし、 そういう人に治療でインスリンをつっこむと途端に網膜が悪化する。 インスリンが大量にあるが低血糖、というケースでも網膜が悪くなるのか どうかを確認できると面白いのだろうな。 しかし、さしあたってはこの真偽はどうでもいい。 糖質制限すれば血糖値も落ちるし、インスリンをつっこむ必要もなく、 分泌もされない。両方落とせる以上、どちらが悪いかなど考える必要もない。 もし高血糖でも血管破壊は起きない、ということになったとしても、 感染のしやすさや、癌への対応で不利になるのは確かだろう。 低いに越したことはない。

2014年05月18日

朝ケトン出た。+2と+3の間くらい。なるほどこれくらい空腹なら出るのか。 ということは、ケトン食と言うには蛋白質を食べすぎているということだろう。

牛筋とねぎの味噌煮的なものを作って食べたが、わずかな量で胸焼け感。 嘔吐中枢を刺激する機構を知りたいな。 量的に言っても時間から言っても、 ケトアシドーシスして吐き気、という経路とは思えない。 単純に油の刺激で胃が拒絶反応を起こしている感じな気はする。 油の種類によって胸焼け感が変わるかどうかを確認すべきだな。 種類で変わるのは胃への刺激で、血中ケトンは種類にさほど影響されないはず。 そのうちオリーブオイルを100ml飲む実験をしてみよう。調子が良く、 その後へばってもいい時に。

糖質の必須量がゼロであるという確信はないが、 穀物や芋を食わなくても足りる程度であろうという確信はある。 糖質がいらない、とは断言できない。 炭水化物の代わりに蛋白質を食う場合、 邪魔な窒素の排出コストが問題になるかもしれず、 糖新生をしなくていい程度の糖質は食べてもいいのかもしれない。 ただそれは一日50g程度であり、穀物を食えば一瞬で超過する。 穀物と芋を食べなくても、それくらいの量は嫌でも入ってくるわけで、 実質「糖質ゼロ」のつもりで生活してもかまわない。 本気でゼロにしようと思うと食べられる食材が減りすぎて それはそれで危険なのだ。やってる人もいるんだが。

5g以上糖質を食うとインスリンが出て体に悪いという人もいる。 残念ながらその意見を主張していた人はサイトを畳んでしまっていて、 今となってはあまり見かけない。「かまいけ式」という奴だ。 しかし、もし私がガンになったら、そこまでやるだろうな。 糖質は単なるエネルギー源にすぎず、蛋白と脂肪があればそれに関しては足りる。 蛋白をブドウ糖にすると窒素が余って腎臓に悪いという話もあるが、 脂肪が蛋白質に対して潤沢にある状況では糖新生はそれほど起きない。 さらに、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解され、 グリセリンは糖新生の材料になるから、なおさら糖質はいらない。 蛋白質の必要量も、脂肪が潤沢にあればかなり減る。 代謝系を見ていると、脂肪こそがメインのエネルギー源なのであって、 サブが蛋白質、そして糖質はオマケ程度のものであるとしか思えない。 グルコースは毒性のためにあまり高濃度に持てないし、 グリコーゲンは水を抱えこんでいて体積効率も重量効率も悪い。 まさに火事場の馬鹿力用なんだろう。

だいたい、糖質を自力で分解してグルコースにして食っている哺乳類 ってどれくらいいるんだろ。 ウシもウサギも腸内細菌に食わせて脂肪酸を作らせてから、それを食っている。 インスリンは使わない。

2014年05月17日

ひつじこがたまに吐き気をもよおす。たまに、と言ったが、結構多い。 今日ケトン検出紙が来たので尿をかけてもらったところ、 ケトンがバリバリ出ていた。+2と+3の間といったところ。 とすると、吐き気はケトアシドーシスによるものと考えるのが妥当だ。 ケトンは酸なので、血に貯まると血が酸性になる。 血に酸性になるとどうやら吐き気が出るらしい。

さて、なぜケトンが出ているのか。 まず、ブドウ糖が少ないか、ブドウ糖を使えなくなっているかのどちらかが必要である。 間違いなく前者だ。なにせ糖質制限である。後者は糖尿病だ。 ブドウ糖がないので脂肪をバラし、ケトンになる。 脂肪が多ければケトンも多かろう。脂肪を溜めこまず肝臓でバラせば、ケトンが増える。 そしてケトンを消費し切れなければ、ケトンが増えるだろう。 まず脂肪の量だが、たぶんべらぼうに多い。 次に溜めこむ量とバラす量だが、これはよくわからない。 そもそも本当に食った脂肪を体に溜めこむようなことがあるのか? 体脂肪が食物由来の脂肪酸でできているなんてことはあるまい。 なぜなら、リノール酸をよく食べる人だろうがオレイン酸をよく食べる人だろうが、 貯まっている体脂肪はおおむね飽和脂肪酸だからである。 エサ次第で脂肪酸組成が変わる部分もあるが、おそらくは一部だ。 入ってきた脂肪酸は基本的には肝臓で一旦バラされて、 その後脂肪酸合成で再度作られるのだろう。 というわけで、残るはケトンの消費が少ないという可能性である。 ケトンを使うのは、赤血球以外のほぼ全てだ。脳もケトンで動く。 エネルギー消費の大半は骨格筋によるため、骨格筋が少なければ ケトンが余る計算になる。つまり、ひつじこは筋肉もないのにアホみたいに脂肪を 食べてるので、余ったものが血に貯まって、尿で捨てたり、アセトンを肺から捨てたり している、ということになるのだろう。 それでも捨て切れずに、酸性になって吐く、ということか。

こういうことは実際にあることが知られている。子供の自家中毒だ。 あまり運動せず筋肉の少ない子供に多く、夜中に吐く。私も小さい時はよく吐いた。 筋肉が少ない場合、空腹時に筋肉をバラして糖新生するための材料が少ない。 なので、脂肪をバラす回路にスイッチする。 しかし、何らかの事情でバラしすぎてしまうらしく、 筋肉で使う以上のケトンを作って余ってしまう。 結果、血が酸性になって吐くわけだ。 大きくなってくれば筋肉量が増えて余らなくなるし、 そもそも糖質が潤沢に供給されるのが常なので脂肪を燃やす回路はさほど動かない。 さて、ひつじこに起こっていることが同じである可能性はある。 まず確実に筋肉が落ちている。シノンの授乳のために寝転がっている時間が長い。 シノンをだっこしてオタマと遊びにでも行けば運動になるが、 運動の負荷が大きすぎて消耗するのであまり長時間できない。 そして、糖質が供給されず、一方で脂肪はアホみたいに供給されている。 ありそうな気がするのだが。

ということをひつじこに伝えたところ、 まずはヨガ的な運動でちょっとづつどうにかするとのこと。 あとはたぶん食いすぎ。 筋肉が少ないと空腹時の糖新生(蛋白質から糖を作ること)の材料が不足して、 血糖が下がりすぎることがある。子供の自家中毒ではそうだ。 そのために空腹感が強めに出るのかもしれない。 でも、蛋白質もアホみたいに食べてるはずで、材料のアミノ酸はなんぼでもあるんだが。

蛋白質は貯蔵ができないのか。蛋白質合成に使えなかった分はグルコースか脂肪に 変換される。空腹時に食べた蛋白質由来のアミノ酸がゼロになっていると仮定すると、 糖新生の材料は主に筋肉をバラしてできたアミノ酸となる。 筋肉が少ないとそれが足りなくなるんだろう。

つうことは、ひつじこの体重が落ちなかったのは蛋白質の 食べすぎということになるのだろうか。 余った蛋白質は脂肪の材料だ。筋肉量が少ないのも原因。 脂肪は食べすぎた分はおおむね尿ケトンと呼気アセトンになって捨てられている のだろうから、脂肪の食べ過ぎはさしたる問題ではないのかもしれない。

糖尿病は糖質を食べなければ問題にならない。 例えば猫科のような動物は肉食であり、自然状態での糖質摂取量はほぼゼロである。 人類も消化管のコンパクトさから言えば肉食気味であるはずで、 ゴリラやウシよりは猫科に近いことが想像できる。 必要なブドウ糖は蛋白質から合成し、 インスリンの分泌はほとんど起こらない。 インスリンは余るほど糖質を食べられる幸運に恵まれた時に、 それを体脂肪に変換して飢餓を生き延びるためにある。 肉食動物は元々糖質を食べないわけで、 本来インスリンが出る必要はない。分泌能はおそらくかなり低いはずだ。 人類はインスリンがそこそこ出るように進化していて、 そのために糖質を主食にできているわけだが、 それでも主食にしていいほど糖質の処理が上手なわけではないのだろう。 インスリンは、間違って糖質を食べすぎた時にその害を軽減するため、 そして、その間違って食べすぎたことを幸運として脂肪に変換して蓄積するためにある。 猫科のような肉食動物であっても、 獲物の胃の中に澱粉がどっかりあったりすることもあり、 まったく処理できないのは困るわけだ。だから本来のインスリンの主眼は むしろ血に糖が入りすぎた時に除く方にあるように思われる。 元来肉食動物にとって炭水化物は毒なのだろう。 ただ、せっかくなので少量ならエネルギー源にできる、という話なのだと思われる。

そしてインスリンが出る状況が非常事態だからこそ、 インスリンが恒常的に使われる状況になると体にガタが来る。 高血糖よりも高インスリンの方がよほど体に悪いという話を ちらほら見る。ガン化促進、網膜や腎臓の障害などだ。 高血糖でも腎機能障害が出ないが、血糖を落とすためにインスリンを入れると 腎機能障害が多発すると、あさひ内科クリニックの医者は言っている。 本当かどうかは知らんが、もし本当なら腎機能障害や網膜出血、白内障などは インスリンによる薬害ということになるだろう。 これ本当だったら本当にえらいことだな。

私はケトンがかすかにしか出ない。昼までしか食べてないんだがなあ。 せっかくなので朝まで食べないでおいてケトンが出るか見る。 もしかしたらココナッツミルクを一気食いした後は ケトンが出ていたかもな。あの時はかなり気持ち悪かった。

HbA1cが6台なら治療はしない。せいぜい食事と運動。 薬を飲んでいることで6台になっている、ということだろうか。 もしそうなら食事は改善した方がいいなあ。 運動なんて効果は高が知れている。

2014年05月16日

あさひ内科クリニック。 ここの医者が言ってることが凄まじい仮説でビビッた。 糖尿病でヤバいのは高血糖よりもインスリンの方ではないか、という仮説。 高血糖に害がないとは思えないが、それ以上にインスリンの方が悪い、 ということがないとは言えない。

  1. 普通の人は糖質を食うとインスリンが出る。
  2. 糖尿病の人が治療しないでいると、糖質を食ってもインスリンが出ない。
  3. 糖尿病の人が治療でインスリンを補えば、インスリンが出たのと同じ状態になる。

一番体に悪いのは、普通に考えれば2だ。 少なくとも2と3では3の方がいい。 しかし、この人によれば3よりも2の方がマシで、 さらには1よりも良いという。インスリンが出ないからだ。 この人の病院の1000人くらいのデータはそれを裏付けているという。 この人の治療では、糖尿病患者であってもインスリンを追加しない。 その結果、血糖値が結構高くても腎臓障害が出ず、透析まで行く人はいないという。

マジか?もしこれが腎臓だけでなかったら?ガンももしそうだったら? 弟のガンをこれほど急速に大きくしたのは、まさか治療によって追加された インスリンなのか?論理的には可能性がある。 今まで勉強した範囲でこれを否定するネタはない。 糖には毒性があるが、糖の毒性がどの程度かはわからないのだ。

しかも、この人によれば、網膜の出血すら、高血糖によって起こるものではないと言う。 血糖値が凄まじく高いのに網膜が綺麗な人がいて、 不安になって血糖値を下げる薬を出したら網膜が出血したのだという。 この人の仮説によれば、血糖値が高いのはさしたる問題ではなく、 それで動員されるインスリンこそが問題なのだ、ということになる。 もしこれが本当なら、弟が網膜出血を起こしたのは、 高血糖だからではなく、 糖質のバカ食いに伴うインスリンの分泌によるものだということになる。 もっと早く糖尿病になってインスリンが出なくなっていれば 網膜は出血しなかったのかもしれない、という話にすらなりうる。 もちろん、糖に毒性があるのは間違いないので、下げておくに越したことはないが。

この人、野菜全否定しやがった。 さすがにそれを言うには繊維とかビタミンとかミネラルとか 植物特有の化学物質とかが必要でないことを証明しないといけないと思う。 うちとしてはそこで博打はできない。 うちの野菜消費量はたぶん並よりもかなり多いはずだが、 それは維持しよう。葉物に限るが。

議論が全体に粗すぎるし断定が過ぎるとは思うが、 それは間違っていると断言していい根拠にはならない。 でもそれはそれとして、粗すぎると思うなあ。

2014年05月15日

柏のがんセンター。

食道の先生は3分とかかってない。 「この病院は専門性が高いから、抗癌剤は内科の先生。終わたらバトンタッチ」。 「今の治療は集学的。手術だけでは不治の病だが、抗癌剤を使うことで長生きできる」 「がんばりましょう。いいですね」。終わり。

眼科。糖尿病なら2ヶ月に一度は眼科に行け、とのこと。 実際弟の網膜の状態は悪いようだ。 確かにいきなり失明されても嫌だし、これは従うべきな気がする。 しかし、さっさと血糖を下げて改善すれば、 いずれ「もう来なくていいよ」と言われるだろう。それを目指すべきだ。

内科。術前療法をやるという決断を伝えた。 しかし、糖尿が悪いので抗癌剤の点滴に耐えるか心臓の医者にかかって 検査してこいとのこと。この病院ではやっていないそうだ。 あと、最後に糖質制限について聞いたところ、 「糖尿病専門医の指示に従ってください。勝手にやらないで」で終わり。

インスリンを出せない状況では、 血に入ってきた糖は全部そのままになって血糖値を上げる。 血管が壊れる。これを防ぐためにインスリンを注射すれば血糖は下がるが、 どけた血糖がどこに行くかと言えば、脂肪に変換されて溜め込まれる。つまり太る。 点滴や病院食で澱粉やブドウ糖を潤沢に与え、インスリンも一緒に投与、 という治療に何か疑問は感じないのだろうか。 しかしまあ、食事はたぶん少ないだろうし、一週間くらいなら妥協できるか。 できれば1ミクロンでも生き残る側に近づけたいのだが、 手術に関してはとりわけ医者の立場が強い。 抗癌剤や放射線の適用範囲が広がるのは、その意味ではいいのだろうな。 患者に選択する自由が増える。

2014年05月14日

今日は「がん治療エッセンシャルガイド2版」。1万以上した。

術前補助療法の利点。腫瘍を小さくでき、切る範囲を小さくできる。 微小転移を叩けるかもしれない。手術をやる前に抗癌剤が効くか確認できるので、 術後補助療法のヒントになる。効き具合でどれくらいヤバいガンかがわかる。 効かないガンはヤバく、場合によっては手術をしても無駄だということになる。 まだ元気なので最後までやれる。血行が保たれているのですみずみまで行き渡る。

どれも理屈としてはいいのだが、最初のだけが気になる。 小さくなるということは、元々腫瘍だったが腫瘍でなくなった、 という所があるわけだ。それって切らなくていいの? 元々どこが腫瘍だったかわからなくならないか? 普通は大き目に切るわけだが、その予定ラインを抗癌剤で小さくなったからといって 変えていいものなのか?このへんちょっと聞いといた方がいい気がする。

肛門癌のように、切ってしまうことで生活が辛くなるものは、 第一選択が放射線になるケースも出てきているようだ。 他にも切るのに高いスキルが必要な場所もそういうケースが出てきそう。 乳癌も乳房の温存を望む患者が多いので、それに応えて放射線を使うケースが 増えるかもしれない、とのこと。

ステージ4で手術をするケースは限られている。 転移先も含めて切ることができる、という場合で、 あとは症状緩和のためだ。

ラジオ波焼灼は生き残りが出やすいようだ。

基本的に、ある程度大きくなれば微小転移が遠くにまで行っているとみなすべき。 つまり、抗癌剤をつっこまずに済ませられるのはよほどの早期に限られる。 無理をして手術しても命を縮めるだけであることは多いわけだ。 しかし今回の場合、治すことが目的であり、延命はハナッから選択肢に入っていない。 大動脈近辺のリンパ節に転移があればたぶんダメだろう、と専門家の方から お話を頂いており、そこが気にはなるのだが。 もし本当に「たぶんダメ。切っても苦しむだけ」ということなのであれば、 ハナッから緩和を目的とすることもありうるのだろうが、 今のところそういう話にはなっていない。

分子標的薬は、癌細胞だけが使っている機構を邪魔することを目的とする。 その機構を使っている癌細胞にしか効かないので、 効くかどうかを事前に判断する方法がないと効果が薄い。 理屈の上では副作用は少ないはずだが、 正常細胞のことが全部わかっているわけではないので、 誤爆はありうる。実際副作用は結構ある。

あと分子標的薬の中でもちょっと違うのが、血管を作るのを邪魔する薬だ。 こいつが相手にするのは、 癌細胞にだまされて血管を引きにいそいそとやってきた普通の細胞であり、 癌細胞そのものを相手にするわけではない。

放射線は可能性を感じるなあ。回しながら照射することで正常細胞の巻き添えを防ぐ アプローチはちょっと前からあるが、最近はある方向からの照射の中でも 腫瘍の厚みによって照射強度を変えてさらに巻き添えを減らす方法が出ている。 そのうちCTみたいにグルグル回りながらすごい速度で そういう制御をやるようになるんだろうか。 粒子線も装置が安く小さくなれば可能性は感じる。 何と言っても、手術と違って職人芸が要求されないのがいい。 50年もすれば手術を置き換えるケースが増えているかもしれない。 しかし今のところは殺し残しの危険が高すぎるし、巻き添えによる副作用も問題になる。 「治す」ということに関してはまだまだなのだろう。緩和にはいいのだろうが。

抗癌剤は口内炎が出やすい。歯磨きのやり方が重要になる。傷が治らなくなるからだ。 糖質制限はいいと思うんだがなあ。歯垢が溜まりにくくなる。

抗癌剤や手術で免疫が落ちる。加えて、管をつないだりなんだりして、 感染しやすい状態にある。 そういうわけで、抗生物質のオンパレードになるわけだが、 これ夏井氏の理屈が正しければもっとうまくやれそうな気がするよなあ。

抗癌剤やステロイドによる免疫抑制によってウィルスの類が元気になることがある。 B型肝炎ウィルスが活性化することもあるらしい。 また、インフルエンザワクチンは打っておいた方がいい。 抗癌剤をつっこむと効果が弱るので、 その前にやっておけると良い。もちろん家族も毎年打っておくべき。

抗癌剤をやる前に歯の掃除をしておいた方がいいのか。できれば二週間前までに。 伝えておこう。医者に言われなかったからなあ。

緩和ケアの章を読んだ。不愉快な内容だったが、基本的な考え方が良くわかった。 そして、治療がなくなってから緩和に移るというのでなく、 治療開始時から苦痛を抑えるケアをちゃんとやるべきだという 話になっていることがわかった。 どれくらい実践されているかはわからないが。

精神面のケアの章を読んだ。いきなり余命を告げるような医者は今までいなかったので、 そのへんはいいのだろうが、余命の中央値や生存率を告げておかないと、 治療が何を目的とするのかということが曖昧になる気はする。 まあ弟の場合、「がん以外の原因で死ぬまで生きられるようにすること」、 つまり完治以外の目的はないので、そんなものは不要なわけだが。 治る可能性を上げることだけを考えればいい。 ただ、質問に答えてくださった方からのメールにもあったように、 「こうなったら大抵無理」という判断基準はあり、 それを明らかに踏み越えてしまっているのであれば、 最初から緩和ケアという選択肢もあるのだろうとは思う。 幸いそこまで状況は悪くない。統計上は生存率13%だが、 統計の内訳を考えればその13%に入れる可能性はそれほど低くないと 私は勝手に思っている。 なにせ若い。喫煙もしていない。飲酒もしていない。 糖尿は糖質制限で改善しつつある。家族も本人も結構物事を理解できる方だろう。

検診の章を読んだ。便潜血、胃X線、胸部X線は統計的な研究から言って、 やって損はないらしい。

癌と診断された人が5年後に生きている確率はだんだん高くなっている。 しかし、これは若干眉に唾をつけて解釈する必要がある。 というのも、癌の中には放っておいても死なない癌があるからだ。 一定以上大きくならず、転移もしない癌である。 こういうものは、そもそも見つける必要がなかったわけだが、 当然のように「5年後生き残る人」にカウントされる。 多くは手術で治療もされているだろう。 同様の理由で、「癌と診断されてから死ぬまでに何年かかったかの中央値」 の伸びも多少差し引いて見る必要がある。 早く見つかれば、「見つかってから死ぬまで」の時間は当然伸びる。 検査技術は進歩していても、治療技術が進歩しているとは限らないわけだ。

やっぱり滲出性中耳炎だなこれ。飛行機に乗った時の気圧差は解消されているはずだが、 聞こえが回復しない。キーを打つ際の高周波が聞こえないままだ。 放置して右の聴力がこのレベルで固定してしまうと非常にまずい。 プチ障害者、なんていうレベルでは済まなくなる。 金曜余裕があれば病院行こう。幸いにして会社の近くに耳鼻科がある。 鼓膜切開は何年ぶりかな。25年は経っているはずだが、何か進化はあっただろうか。 小さい頃は結構頻繁にやっていたが、基本麻酔なしだった。 どうせ痛いのは1秒くらいなので、済んでしまえば大したことはない。 しかし隣の先生は麻酔していたりもして、あれは技倆の差だったのだろう。 うまい人は一瞬でやるが、皆がそうできるわけでもないということか。

小さい頃は頻繁に耳鼻科に通っていた。8歳の頃に片耳が聞こえなくなったので、 その経過観察と、もう片方の聴力に異常が起きていないかを検査するためである。 「現代の医学では治せません」と言われて、もう30年近く経つのか。 いいかげん治らんかなこれ。ステレオとやらを一度体験してみたいものだが。 どうも普通の人間には、音の距離と方向がわかるとか、 ノイズを消して注意を向けている音だけが明瞭に聞こえるとか、 そういう素敵な機能がついているらしい。にわかに信じ難いが、 宴会のやかましい場で複数人と苦もなく会話しているのを見るに、本当なんだろう。

最近人と話す仕事が増えてきたので、片耳の面倒を強く感じる。 初対面の人がいる会議で聞こえやすい位置を自然にゲットするのはなかなか困難だ。 あと、家族の声に気づかないことが多く、ひつじこに怒られる頻度が高いのも辛い。 人間がたくさんいるほど不利になるわけで、それは子供が増えても同じことだ。 オタマが産まれるまではひつじこがいる方向にだけ注意を向けておけば良かったが、 今はそうは行かない。あと1年もすればシノンも対象になる。 もっとも、それは単に私が自分の考えに没頭しているだけかもしれず、 障害のためだと立証することはできない。 そして仮に障害のためだったとしても、私以外の人間にとっては同じことだ。 私がコミュニケーションを必要とする仕事を極力避け、一人で集中して成果を出すように 生きてきたのは、たぶんこれと無関係ではない。 しかし、関係があると立証することはできない。

私は普通に比べれば、あまり聴覚を使わない生き方をしているのかもしれない。 聴覚に注意を払わない。普通の人と同じだけの注意を聴覚に割いても、 得られる情報が少ないからだ。言うならば、聴覚のコストが高いのである。 視覚や触覚は相対的に安くなるので、その分だけ多く使うし、 そもそも知覚そのものに注意を払わずに思考に集中する頻度も増える。 電気代が高くなれば、同じ金で得られる電力が減るので、 電気以外のものにシフトする、というのと同じ理屈だ。 そして、聴覚を使わないということは、 視界外からの割り込みを無視するということであり、 さらには視界外のことは丸ごと無視するという態度につながる。 視界内や脳内に集中している状態でリラックスし、 それで成果を出せるような仕事を選び、そういう働き方をする。 ディレクターごっこを始めるまでは 労働時間を夜中や朝にずらして一人で黙々とコードや本を 書いている時間が長かったわけで、 そういうふうに育ってしまったんだろうなあと思う。 しかし、そんなことは言い訳にしかならない。

家の中でも左の壁際にいるようにしないとダメだよな。 しかし厄介なことに、台所に向かうと、居間が左側に来る。 水音やコンロの音もあって、居間から話しかけられてもまず気づかない。 よく怒られる。私自身にも、聞こえていないのか、気づかないだけなのか、 もはやわからない。 原因が難聴かどうかに関係なく、今の私はそういう人間だということだ。 そして、それを直さない限り怒られる。

にしても、ひつじこに怒られるのはこたえる。 藤子F不二雄の短編を読ませた時も怒られた。 「気持ち悪い。捨てたい」とか言われるとさすがにきついんだが。 しかも、最初に読ませた時でなく、それからずいぶん経って他の何かで怒らせた時に そう言われた。そんなに怒るほど嫌なら最初に言ってほしかった。 とは言え、怒るのはひつじこの感受性が豊かで、 不快な話で本当に不快になれる感性を持っているからだ。 私のように、悲しい話を楽しく読める度し難い神経を持っていない。 不快な話を、その不快さについて考えて楽しむような、 そんな度し難い感性を持っていない。 不快になるものを持ってこられれば、そりゃ不快になるわけで、怒るのも無理はない。 しかし、そうなると私が好きなものを勧めることはリスキーになる。 私が面白がるものには、人間の歪みや異常性が表現されたものが多いからだ。 単に「合わない」「つまらない」と言われるだけならまだいいが、 人を不快にさせるものを勧めるわけにはいかない。

私、コミュ障って奴だよなあ。 でも、コミュ障でなかったら本なんて書かなかっただろうし、 こんなにプログラムなんて書かなかったと思う。 私に良いところがあるとすれば、それは私の悪いところとセットなのだ。 悪いところだけを取り除けるとは思えない。 悪いところは直せる、なんてとても思えない。 必要であれば努力はする。しかし、直せるとは思えない。 直さなくても問題を解決できる方法があれば、そうする。 だから、私は人の悪いところを直そうとは思わない。問題が解決できるならば、 悪いところは悪いところのままでいい。良いところをもっと活用する方がずっといい。 ドラッカーの考えに共感したのは、私が欠点の多い人間だからかもしれない。 欠点を直すヒマがあったら長所を伸ばし、 人と人とが協力してそれぞれの欠点が問題にならないようにすべきだ、 というドラッカーの考えは、欠点の多い私を肯定してくれている。 私にそのままでも貢献する道があると言ってくれている。 しかし、家庭というところはそれが可能なほど規模が大きくない。 分業度を上げられない。両方ができねばならないことが多い。 だが、私にはできないことが多すぎる。

いかん寝よう。明日は7時出発だ。その前に弁当を作らねばならない。 5時間睡眠がせいぜいだな。

2014年05月13日

食い物がガンに関係ないというのは、「キャベツはいい」「飽和脂肪はマズい」 みたいな話のことで、 糖尿になるほど炭水化物を食うのはマズい、焦げた物はヤバい、 カビの生えたピーナッツはヤバい、酒はヤバい、塩が多すぎるのはヤバい、 といった話を否定しているわけではないと思う。 塩は若干微妙だが、炭水化物をアホみたいに食う生活をしてない限り、 塩を取りすぎることなんてできないだろう。単純にしょっぱすぎて苦痛だ。 米や麺やパンを大量に食わない限り

糖質制限と言うとキワモノ扱いされるが、 「糖質過剰の是正」と言えば穏便に聞こえる気がする。 しかし、実際にやろうとすると、「減らす」よりは「食べない」の 方がずっと簡単なので、実態としてはキワモノになる。 糖質は嗜好品なので、中途半端に量を減らすよりも、 ズバッと断った方が簡単なのである。 禁煙を試みる人がニコチンパッチを使うように 多少の逃げ道を用意しておくのはアリだが、 メインに断つべきものは完全に断った方がいい。 「チョコレートとシュークリームとアイスはオーケーだが、米麦芋はアウト」 くらいの方がまだマシだ。 「エリスリトールを使った菓子はオーケー」ならもっといいが、 高くて面倒なので逃げ道としての使い勝手は悪い。

禁煙を試みる人がニコチンパッチを使うのは考えてみれば合理的だ。 習慣による依存と、肉体の依存を分離して各個撃破している。 先に習慣を変えてから、徐々に肉体の依存を減らしていくわけだ。 糖質制限についても同じことが言えるだろう。 こちらは、先に肉体の依存を減らす方が容易い。 ニセパスタ、ニセうどん、ニセパン、ニセごはん、砂糖なし菓子、 といったものを使って習慣は変えないままに、 とにかく体を糖質のない状態に順応させる。 これがうまく行けば、肉体的な欲求はなくなるため、 習慣を変えるのはかなり簡単になる。

エッグノッグ的なものを作った。 生クリーム(脂肪35%)200ml、卵2個、エリスリトール大匙1、 レモン汁少々、バニラエッセンス5滴。電子レンジで30秒くらい加熱しては かきまわすことを5回くらい繰り返して、なんとなくそれっぽいものができた。 そして一気飲み。飲めなくはないな。これで蛋白質16g、脂質80g、糖質6gが得られる。 800kcal程度。これ2回で一日分のエネルギーは取れる。 バランスもクソもないが、ケトン食の基本はこういうもので、 あとはサプリでどうにかするわけだな。 もう少し手間や金をかけるならいろいろとマシになるが、 短期的にケトンを出したいならこれが一番お手軽だろう。 こういうおかしなマネを年単位でやって死なないんだから、 少なくとも糖質が人体に必須ということはない気がする。 ビタミンやミネラル、脂肪酸のバランス、蛋白質の組成、 といったものは別途考えないといけないだろうが、 年単位で食わなくても死なないものを必須とは言うまい。

でもこれを毎日一回飲む、とかいうのはさすがにキツい。 すでに胃が重い。やるにしても2回に分けるべきだろう。 生クリームのかわりにココナッツミルクを使えば脂肪の量の割には ケトンの量が増えるので、その方が楽かな。安いし。 飽和脂肪食いすぎじゃね?的な不安もない。 しかし量が400mlに増えるので、そこはキツいな。

バランスその他から言えばナッツだけ食う方がよほどマシだよなあ。 コンビニのミックスナッツを110g食えば、おおよそ700kcalになる。 しかし、ナッツの蛋白質はアミノ酸組成がイマイチだし、 リノール酸の摂取量も増える。繊維やミネラル、ビタミンの面では 圧勝なんだが。

このエッグノッグとナッツ100g、それに葉野菜の何か、 というのが楽チンケトン食の基本になるのかもしれんな。 それにしても、科学やら医学やら主導で食い物を設計すると 明らかにおかしな結論が出てくるのが面白い。

「糖尿病診療ハンドブック」を買った。おおよそ読んだ。 医者がどういう世界観にいるか、なんとなくわかった。

標準体重の簡単な計算法。身長×身長×22。170cmなら63.5kg。 180cmなら71.2kg。私は痩せすぎだろうが、 身長が長いほど細長くなるのは道理なので、そんなに問題でもないんだろう。 平均身長で一番丁度良くなっているはずで、それより大きい人は重めに出るに違いない。

HbA1cは指数関数的減衰をするのか。半減期は30日と。 血糖値の算術平均ではない。なるほどそれなら高いところからの変化はかなり速くなる。 二週間で0.8落ちるわけだ。それだけ改善しているということだろう。

SU剤は低血糖の危険があるので少量から始めると。 血糖が高くなることのリスクは慢性的なもので害が時間をかけて出るが、 低血糖はすぐに出る。ということは、SU剤を必要としないレベルの血糖値までしか 上がらない確信があるなら、 SU剤は飲まなくていいし、飲むべきでない、ということになる。

HbA1cは6.2以下が優で、8.4以上が不可、という分類。 ところで、5くらいまでは簡単に下がるのだが、下がりすぎても良くないのか、 単にそこまで下げることを要求するのが厳しいというだけなのか。 どこまで下がるんだろうなあ。自分で試してみないとわからない。 今まで見た最低値は4.3。

空腹時160、食後2時間220、HbA1c8.4以下ならとりあえずは食事と運動で経過を見よう、 という感じになるわけか。これはたぶん達成しているはず。 これを達成していなくても、SU剤よりはDPP4阻害剤をまずは試すべきということになる。 また、しばらく食事と運動に気をつけても空腹時140、2時間200、HbA1c7.4以下を 達成できないようなら、薬を強化せねばならないかもしれないと。 BMI22、血圧130/80、LDL120、中性脂肪150、HDL40以上、 というあたりも指標になるわけか。

元々がバカ食いの場合、カロリー制限を守れば体重は減る。 甘い飲み物と主食の制限が効いているケースが多いのだろう。 つまり糖質制限なわけだが、カロリーは計算が面倒だし大変だよなあ。

肥満の場合のカロリー制限は標準体重あたり25kcal。63kg目標なら1575。 これ、カロリー制限しようとすると、まず脂肪を減らすよなあ。 その方が量が減らないから。結果炭水化物に偏ったりしないのか。 内訳は、炭水化物55-60、蛋白質10-20、脂質20-25が標準か。 私はたぶん順に20、30、50くらいになってる気がするが。

どうやって守らせるんだろうかと思ったが、 食品交換法で計算、グループ分けして全グループを入れるルール、 主食、主菜、副菜を毎食入れるルール、などが提示されている。 無理じゃね?まず計算は面倒だからありえない。 グループ分けや種別分けは、量が適当になりすぎてコントロールが難しい。 これ、成功する人は相当気を使ってる人だけじゃないのか。 ルールは単純で手間がかからず、曖昧さや抜け道が少ないものが望ましい。 なるほど糖質制限は楽だ。江部氏がグレードを3つに分けたのもなるほど賢い。

「食事時間が不規則な場合は、 栄養素をバランス良く含んでいって手軽に摂れる食品を選ぶ」 とあるが、不規則な奴がそんなことをできるのかという問題がある。

運動が効いた例が紹介されているが、体重が90kg台から減ってない。 HbA1cは9から7まで下がったが、依然インスリンを打っている。 インスリンはブドウ糖を脂肪に変換させるので、そりゃ痩せない。 HbA1cが下がればいい、ってもんじゃないだろう。 なぜこれが成功例として書かれているんだ?

「食事を直さないと運動の効果は小さく、 そもそもエネルギー消費は大したものではない」 と言われて運動する気になる患者がどこにいるというのだろうか。

朝飯を食わないとエネルギーが行きわたらず、頭が働かないし、 省エネ体質になって余計に痩せなくなる、とある。 いや、朝飯を食わないくらいでそういう状況に陥ること自体が異常だ、 という発想はないのか? また、生活リズムを良くしろとか、歯を磨けとか、とにかく細かいことが いろいろと書かれているわけだが、守らないだろ。 太るような人は、そういうことができないか、 そういうことに価値を認めないから、太っているのではないのか。 よほど命の危険でもない限り、それこそガンにでもならない限り そう全てを改善できるとは思えない。 それに、こんな状況になってすら、生活習慣をここに書かれているような理想的なものに するのは大変なことなのであって、「とりあえず米食うな」で済むのに比べればはるかに 骨が折れるように思える。

DPP4阻害剤はHbA1cを1下げる程度の効果しかない。9以上あるなら、 SU剤を追加する必要があるわけだ。アルファグルコシダーゼ阻害剤は 食後高血糖くらいしかない場合に用いると。 インスリンの出が遅れるだけと考えるわけだな。 仮想的にGIを下げるようなものか。

ビグアナイド薬。メトホルミン。肝臓の糖新生を邪魔する。あー、 これ飲んでるとガンの成長が遅いって論文あったよな。納得がいく。 SU剤をこれに変えてもらえないかなあ。次の機会に相談してみよう。 SU剤と違って低血糖に落ちにくいし、肥満合併型の糖尿病に適応なので、 ちょうどいい気がする。ただ、ケトンが出てるような状況だとマズいと。 それに副作用として食欲低下や吐き気があるのはいただけない。

SU剤は強力だが低血糖をもたらして危険なので、 大幅に改善している時には減量、中止が望ましいと。HbA1cが7.4以下になるなら 使うべきでないとある。 え、あの医者「入院までこのままで」って言ってたけど大丈夫か。 2週間で0.8下がってることを知った上でそれか。 今となっては使う利益より不利益の方が多いとか書かれてるんだが。

やめても高血糖になるだけですぐにどうこうなることはない。 グリメピリドは即刻やめるべきだよなあ。 HbA1cはすでに7かそこら相当まで落ちているはずで、 夜間低血糖などのヤバい症状を引きおこしかねない。 この薬を止めない限り糖質制限は危険だ。 しかも、この薬はインスリンを無理矢理出させるので膵臓を疲弊させ、 加えて食後低血糖を強化して食欲を増し、結果太る。どう考えてもダメだ。 そもそも、「食べられない時は薬を飲まないこと」と指導するべきと書かれているが、 弟はそんな指示を受けているのだろうか。

糖尿病には高血圧と高脂血症がついてくる。これに対して別々に薬を出して対処する。 弟もコレステロール低下剤を処方されている。 こういうのは対症療法としてはいいが、長期的にはどうするつもりなのか。 「薬を飲んでいれば大丈夫」は全然大丈夫じゃない。 なんだこのおかしな考え方は。考え方がそもそもおかしくないか。

糖尿病患者の死因第一位は癌、と書かれている。どう考えても無関係じゃない。 糖尿病を診断した医師は、それを患者に伝えるべきじゃないのか。 糖尿病がどれだけ怖いのかをちゃんと伝えられているのか。

「糖尿病の治療は、発病からほぼ一生涯という長期にわたり行う必要があり、 患者にとっては運動や食事など生活習慣の変容に加えて、 服薬、毎日の血糖測定、自己注射などの治療を生活行動の中に 組みこんでいくことが求められる。 患者は多大な努力をしなければならないうえ、 常に合併症への不安を抱えており、長期的・ 慢性的なストレスにさらされている人達であることを、 治療者は配慮しておくべきである」とある。 そこまでして澱粉食いたいか?仮に糖質制限の長期安全性に問題があったとしても、 そんな日常よりはマシじゃね?

エビデンスがない、とよくいわれる。糖質制限が効く証拠がない、ということだ。 そしてその証拠とは、人を2群に分け、 ランダムに糖質制限をやる人とやらない人に分け、 どうなるか観察する、という実験を行った結果のことである。 これをやって効果が認められない限り、「エビデンスがある」という言い方はされない。 だが、この試験は不可能だ。そもそも糖質制限をちゃんと実行しているかを 知る術はないし、やらない人も何をどれだけ食っているかを全て把握しないといけない。 だから、糖質制限が「エビデンスのある治療」になる日は永遠に来ない。 そもそも、本当は「本人がどちらの群かを知らない」という条件がさらに必要になり、 ガンの治療法の試験なんかではそうやってやっている。 だが糖質制限で本人がやってるかやってないか知らないなんてことは絶対にありえない。 だから、エビデンスとして低い水準にしかなりえないのだ。

1600kcalにカロリーを制限すれば、糖質摂取量は100%400g以下に落ちる。 実際には蛋白質や脂質がゼロということはなく、300gくらいまでは落ちる。 だからカロリー制限が実行できるなら、肥満も糖尿も改善するはずだ。 しかし、現状がこれということは、 つまるところそう簡単には実行できないということである。 まして「油はいかん」と言われれば糖質がかえって増えることもありうるわけで、 当然血糖が上がる。

この本にはどこにも「澱粉食わなけりゃ血糖値上がんないし インスリン出なくても問題なくね?」 とは書いていない。その可能性について検討した記述があることを期待していたが、 ない。「血糖が上がるのは澱粉食うからでしょ?澱粉食わなきゃ上がらないよね? 上がらないならインスリンいらないよね?膵臓壊れても死なないし失明もしないよね? え、それ治療する必要あんの?」という知ってしまえば当たり前すぎる論理展開が、 この本では検証されていない。気がつかないんだろう。 後から考えれば当たり前すぎることに気づけない、ということは確かによくある。 しかしいくらなんでも、このレベルで気づかないのはどうなんだ? これが糖尿病治療の標準的なテキストだとしたら、そりゃ糖尿病は治らんだろ。

2014年05月12日

11日夜から福島の実家に行った。 12日の柏での診察の前にいろいろと調べたことを話しておかねばならなかったのだ。 当日現地で合流したのでは時間がなさすぎる。 夜はあまり時間がなかったが親とはそこそこ話せた。 そして、12日の柏までの道中は弟込みでいろいろと話せた。

今日は3つの診察があった。順に内科、呼吸器、糖尿。

内科の医者は、12日までに食道癌扱いするか胃癌扱いするか決めてこいと言った人だ。 結論から言えば決め切れなかったのだが、 15日の食道の人との話で決めることになった。 しかしまあ、10中8,9術前療法だろう。体力次第では術後療法もやるかもしれない。

いろいろ聞けた。巡回癌細胞検査といって、血の中に癌細胞が浮いているか 調べる検査があるのだが、まだ臨床試験くらいの段階だという。 結果に信用がおけない。しかも今回の場合、どういう結果が出ても方針が変わらない。 だからやらないという。 また、抗癌剤の感受性試験はできないのかという質問に対しては、 「できない」ときっぱり。 まだとても実用になる段階ではないのだという。 もう一つ、抗癌剤が効いているかどうかはCTよりもPETの方がわかりやすいという意見が あるがどうか、と聞いたところ、CTで十分との答え。 CTだと死んだ細胞がそのまま写っていて効いていてもわからないことがあり、 ブドウ糖取り込みを観察できるPETの方が癌細胞の 生き死にがわかりやすいのは確かなのだが、 小さくもならない程度にしか死んでいなければ効いていないと判断して 差し仕えないのだという。副作用の強い薬だけになるほどと思った。 この人は信用できると感じる。

使うとすれば、5FU+シスプラチン+ドセタキセル。 ドセタキセルは肺癌にも使われるので、 食道癌の後に手術する予定の肺癌にも牽制が期待できる。奏功率は30%程度だが、 成長を邪魔してくれればいい、と考えるならもっと率は高かろう。 これをやらないとかなり先まで肺癌を放置することになる、というのが 術前療法をやる方に傾いた主な理由である。 問題は3剤使うと副作用がキツいということだが、 これは弟になんとなく耐える覚悟ができてきたので、それに期待するしかない。

ところで、金曜に食道癌の医者がブログをやっているのを見つけ、 メアドがあったので質問してみたのだが、ありがたいことに 日曜の夜に返信が来た。 食道腺癌でも術前療法が効くのか、という質問だが、 「効くとわかっているのは扁平上皮癌で、腺癌で効くかは誰にもわからない」との答え。 ただし、「うちでは胃癌扱いして、先に切ってから術後療法をやっている」 と補足があった。 しかも、35歳でかなり進行した食道腺癌の患者が生還した例があるという。 術後療法はTS-1+イリノテカンを3年で、がんセンターで提示されたTS-1で1年、 というのとは違う。数例この組み合わせでうまく行っている患者がいるという話で、 大変勇気づけられた。 このことを内科の先生に話したところ、 カルテにその話を書いてくれ、食道の先生に伝えてもらった。 15日に食道の先生のこれに関する考えを聞かせてもらえるだろう。 ただ、肺癌があるという事情もあるし、 術前療法で糖尿を改善するための時間稼ぎをするという事情もあり、 術前療法はやることになるのだろうという感じにはなっている。 抗癌剤をやると食欲がなくなって痩せるため、 これが糖尿の改善に役立つという読みだ。 しかし副作用が強く出るのは嫌なので、始まる前にどこまで血糖を下げられるかという 勝負になる。弟には強力な糖質制限を勧めておいた。 来週には入院して始まるかもしれず、 それなら猶予はあまりない。体重を落とせば抗癌剤の量も減らせ、 いくらかは楽になるだろう。

次が肺の先生。今書いたロジックには肺の先生の話も混ざっている。 肺にドセタキセルが効くことを期待したい、という話だ。 あと、食道を片づけている間に肺が放置されることの危険については、 3ヶ月かそこら放置しただけで転移して手遅れになるなら とっくに転移してるだろうから、むしろ手術しなくて良かったということになる、 という説明。急いで手術したが脳転移が見つかって、手術するだけ損だった、 という症例があったのだという。 少々適当な説明と言えなくもないが、 糖尿と肥満が改善しないと切りにくいし、先に肺を切ればヤバい食道が遅れるという 厳然たる事実がある。 そういうわけで、肺が後回しになるのはやむをえない。 これも納得できる。信用できる先生に思えた。

次に糖尿の先生。その前に血液検査をやっていったのだが、 2週間前に8.8あったhbA1cが8.0まで落ちていた。 「何かやったの?」と質問。炭水化物を断ちました、と答えた。 よほど劇的な改善らしい。hbA1cは遅れて改善するため、 血糖値そのものは相当に改善しているのではないか、とのこと。 そういうわけで、てっきり「糖質制限いいねえ」という話になるかと思ったのだが、 明らかに機嫌が悪い。医学的根拠がなく、まだ意見が割れているという話。 「痩せるという効果はあるがそれだけ」「最近流行りでなにかと見かけるだろうけど」 等々の否定的な言葉が続く。いや、痩せればそれでいいだろ今の場合。 入院時の食事からできるだけ炭水化物を抜いてほしいことと、 点滴もブドウ糖製剤でなく脂肪製剤を優先してほしいことを伝えたが、基本拒否。 「我々におまかせください」と2回言われた。 血糖が上がる問題に対しては、 輸液にインスリンを混ぜることで適切にコントロールするという。 「いや、ブドウ糖入れないならインスリン必要ないだろ」 「つうか、痩せようとしてるのにインスリンで糖を取り込んだら太って台無しだろ」 「インスリンがガンの成長因子なのって常識じゃないのかよ」 等々のツッコミが心中に走ったが、あまり押すと関係が悪化しすぎるので、 「まあ入院してる時間は短時間ですし、家でやる分にはいいんですよね」 と聞いて、特に否定はされなかったのでそれで良しとした。 食事についてはいくらでも手はある。 そもそも副作用で何も食えんかもしれんが、それならそれでいい。 体脂肪は余計に蓄積しているわけで、数日の飢餓でどうこうなることはないだろう。 むしろ絶食が体に良い作用をもたらす効果の方が大きいかもしれない。 筋肉を削り始めるほどの期間でなく、水分が確保されるならば、 絶食はそう悪いものではないのだ。問題は食道の手術後の3週間で、 その間は輸液だ。この間に糖尿が悪化することはありうる。 それを相殺できるくらい、手術までに糖尿を改善させておかないといけないわけだ。

いずれにしても、hbA1cが6くらいにならないとキツいという話なので、 入院まで最大限の努力をするべきだ、ということになる。 もちろんそれで体力を落としては元も子もないので、 匙加減は本人に任せるが、こちらとしてはできるだけのサポートをする。 とりあえずココナッツオイルを送って、料理に使う油はこれにしてもらうことにした。 糖質制限パンも3斤焼いて渡してきた。 尿糖計と、乗るだけで個人認識して記録する体重計も送りつけた。 親にも意義を説明し、江部本を読ませ、一緒に糖質制限をするようにお願いした。 親も一緒に毎日体重を計るようにおねがいした。 親も、辛くなった時のために、大豆パスタ、大豆麺、糖質オフ菓子、 といったものをいろいろ買って試してみるという。 まあ、うちの親は売店でパンを買って食ってたりしてツッコミ所満載なのだが、 弟の前で食うようなマネはしないようだし、 そのテキトーさ加減がかえって良いのかもしれない。 あまり悲壮になられても困る。理屈を理解してくれているだけでも 大変な幸運なのだから。

つうか、母が毎朝コーンフレークなのをやめさせんとな。明らかに太ってきててヤバい。 「母の日プレゼント」と称してミューズリを渡してきた。まだマシだ。 で、父も聞いたらhbA1cが6とかあるとか言うので、こっちも問題だ。 禁煙もしてもらわんといかんし。「肺に影があったけど2年変わってないからいいよね」 とか言っていやがる。まあそれはガンではないのだろうが、 にしたって心臓に悪い。この状況で親までガンが発覚したらたまったものではない。 せっかくだからまとめて健康になってもらおう。 なお、母はガンになっても治療しない気でいる。まあそれはそれでいい。 もう還暦過ぎたしな。ただし、ガンになりにくい生活は強制させてもらう。 「オレのために健康になれ」と言ってきた。

食道癌はT3N1M1でステージ4、肺癌はT1bN0M0でステージ1。 食道癌の統計上、弟が5年後に生きている確率は15%に満たない。 だが、その統計に含まれる人の大半は高齢者の酒飲みだ。喫煙者も多かろう。 弟にはそれらのマイナス要因はない。 糖尿はマイナスすぎる因子だが、これをきっかけに糖質制限して、痩せて、 体質を改善できれば、どうにか相殺できるのではないかと期待したい。 あとはできれば体操と呼吸法を教えてマッサージをしてやりたいが、 時間が取れるかわからない。 可能なら抗癌剤が始まる前にしたいので明日にでも行きたいが、 弟も会社があるからな。社会参加はできる限りすべきだ。

まず私にできることは、 ケトン食気味の生活をして体にどんな影響が出るかを実験することだな。 そのために尿中ケトンを測定する試験紙を買った。 これでケトンが出る状況を維持するように生活してみる。 明日は生クリームに卵2個を混ぜて飲む予定。 エッグノッグ的飲み物ができると思われる。 少しレモンとエリスリトールとバニラエッセンスを混ぜよう。 加熱する前のプリンだなつまり。

社内ブログにこの状況を書いておいた。 「仕事にならないっす。ごめんね。後で埋め合わせるから」 ということである。上司二人にはさっき状況を説明して、 仕事にならないことを詫びておいた。 快く「家族を優先していい」というお言葉をいただけて、本当にありがたい。 うちは本当ブラックからは程遠いなあ。

病院の後、下の弟がうちまで来た。シノンもオタマもテンション高い。良かった。

2014年05月11日

テトリス本のアマゾン順位がガタ落ちしたなあ。 そのうち4刷は行くだろうけど、そこで終わりか。次で勝負だな。

なんかにわかに詳しくなったな、ガン関係。しかし所詮にわかだ。 経験と実感が伴わない知識なんてそんなに役に立たない。 しかし、医者が「どっちにします?」なんて投げてくる状況では、 その役に立たない知識に頼るしかない。

2014年05月10日

ガンという病気が自分に関係のある病気だとはまるで思っていなかった。 でもそんなわけはない。1/3の人間がガンで死ぬ時代であり、 とすれば身内に一人も出ないということはまずありえない。 そして、ガンの死亡率は二次大戦の日本兵の死亡率が霞んで見えるほどのものであり、 普段から予防のために多少の我慢をするくらいは十分割に合う。

ガンの危険因子。まず喫煙と飲酒。喫煙は全ての癌の危険度を猛烈に上げる。 飲酒は顔が赤くなるタイプの人では自殺行為と言えるほど食道癌の危険度を上げる。 しかしいずれもやらなければいいだけで、予防は容易い。 次に糖尿と肥満。炭水化物を抑えればこれはほぼ逃れられる。 次が感染で、B/C型肝炎ウィルス、ピロリ菌、パピローマウィルス あたりが危険だ。これらは予防接種や除菌ができる。 次からは多少微妙で、しょっぱいものを食べる、焦げたものを食べる、熱い物を飲む、 あたりがヤバいが、これもまあやめようと思えばやめられる。 塩分濃度が高いと胃で、焦げたものは胃と大腸で、熱い物は食道で癌を 作る危険が増す。ここまでの要因は簡単に削れるものだ。 ひとまずガンと診断されれば、「3年後に生きてる人は4割です」 というような不愉快な宣告をされた上に、激しい手術と、 抗癌剤の副作用に苦しむことになる。 それくらいなら、日常ちょっと我慢したり気をつけたりするくらい、 なんでもないだろう。 だが、大多数の人は、それに直面するまでそのことを知らずに生きてしまう。 本当にちょっとしたことなのに。

「ケトン食の基礎から実践まで」を買って読んだ。 てんかんの子供への適用が前提な上に、油が多い食事はバランスが悪く 長期間続けるべきでない、ということも前提とされているが、 極端に糖質をカットした時に何が起こるのかについて 医学的見地から書かれており参考になる。

ケトン食というのは、極端に糖質をカットした食事をすることで、 極力脂肪をバラしてできるケトン体を使うことを強いるものである。 ブドウ糖をうまく使えない遺伝子異常をかかえた人や、 脳にブドウ糖が入ると発作がおこるてんかんの人向けの食餌療法だ。 つまり、極端な糖質制限である。

さて、うちらはてんかんに興味がない。興味があるのは、 まずは糖尿病の克服と、ガンへの作用、そして次に それが長期的に体にいいかどうかだ。 患者だけがやる一時的なもの、という扱いではなく、 うちらも一緒にやって、それが長期的にも問題がないものでなければ困る。 そうでないならそういう形にアレンジせねばならない。 もし糖質がある程度必要なのであれば、その「ある程度」を見つけ出す必要がある。

糖尿病には間違いなく効く。インスリンを出す能力が衰えても、 インスリンを必要とせずに生きられれば何ら問題はない。 ブドウ糖さえ入ってこなければこれは確実である。 そして、糖尿病になる過程で溜めこんだ体脂肪を、 すごい勢いでケトンにバラすことになるので、間違いなく痩せる。 摂取する脂肪の量が多ければ太りそうなものだが、 不思議なことに食べた脂肪がそのまま脂肪細胞に蓄えられるわけでもないらしく、 糖質制限で太ったという話はあまり聞かない。 たぶん単純に、そうたくさん脂肪を食べられないので食べすぎになりにくい ということだろう。いずれにせよ痩せればそれで良いし、血糖値も下がる。 この目的であれば、ケトン食ほど極端である必要はなく、 一日の糖質摂取量が100g程度までであれば十分に効く。 100gというのは400kcalで、1600kcal食うとすれば25%だ。 いわゆる「バランスのいい食事」とされているのが60%なので それに比べればかなり低いが、5%とか10%とかいう話ではない。

ガンにはどうか。アメリカでケトン食をやったら生存期間が改善したという論文が あるようだ。血糖値が高い人と低い人では、低い人の方が 再発が少なかったという論文もあるらしい。 さて、ガンは大抵ブドウ糖をエサにするのでそれを断てばなるほど 効きそうだが、ブドウ糖は食わなくても肝臓で作られるので、 ゼロにはならない。しかし、ブドウ糖を食えば血糖値は上がるわけで、 それはガンを利することになる。そしてインスリンはガンの増植を助ける ことがわかっており、糖質を食べなければ余計なインスリンが出なくなる。 それに、ケトンが血に満ちるくらいブドウ糖を削れば、 ゼロにはならなくても血糖値は相当に減る。 さらに、どうもケトン体が血中に多くあること自体がガンに対して害をなす のではないかという話もある。 標準治療を推しているような医者が、 食欲が落ちては元も子もないので勧められないが 理論的には効きそう、みたいなことを書いていた。 治療の前から糖質制限に慣れていれば好みの問題は克服できる。 ただ、ケトン食のレベルに糖質を減らすのはしんどいので、 今まで糖質を腹一杯食べて生きていた人間には勧めにくい。 食欲が落ちて体力が落ちるのは本末転倒だからだ。 とはいえ勧める気満々なわけだが。 もし私がガンになったら真っ先にケトン食を試すだろう。

ケトン食にどんな問題があるか。まず、食材が猛烈に偏るので、 ビタミンとミネラルが足りなくなることが考えられる。 ただ、これはこの本の言う今までのケトン食のやり方に問題があるだけな気はする。 というのも、この本では糖質でなく炭水化物で考えているからだ。 食物繊維と糖質を一緒にしている。一般の主婦には そのへんの区別は理解力的にも実践的にも辛いだろう、 という配慮だろうし、糖質の1gが発作に直結するてんかん患者であれば そこの曖昧さが命取りになるから、この判断は妥当だろう。 しかし、うちら普通の成人が理屈を理解してやるのであれば、 繊維と糖質を区別するくらいのことはできるし、多少の誤差は問題にならない。 確かに面倒はあるが、使える食材が大幅に増えるので十分元が取れる。 最近は糖質と食物繊維を分けて表示している食品も多い。 これを使えば、葉野菜やナッツ類の多くで糖質の量を気にする必要がなくなる。 また、生でんぷんは吸収されないので食物繊維と考えていいとすれば、 長芋や人参を生で食う分には問題がないということになり、さらに食材が増える。 このあたりを加味して使っていい食材リストを作り、 代表的なレシピをある程度揃えれば、 かなり楽にケトン食に相当する効果が得られるはずだし、 ビタミンやミネラルの不足もおそらく問題にならない。 むしろ白米のような栄養の乏しい食品が減るので改善する可能性すらある。 もちろん、念の為サプリを併用するのもアリだろう。

また、油の種類が偏ることによる問題もある。 普通にやれば、オメガ6系の油が猛烈に増えてしまう。 鶏肉も豚肉もオメガ6が結構多く、安い植物油はごっそりオメガ6だ。 これではオメガ3系とのバランスが取れないし、飽和脂肪酸も増える。 この本ではこの問題にはあまり触れていない。 後述の中鎖脂肪酸系の油に頼ることが多いので植物油由来のオメガ6が減るのと、 そもそも数年でやめるのなら油の種類による問題は目に見えるほどには生じない、 ということだろう。

さてどうするかだが、まずリノール酸が多い油は論外だ。 あとはケトンを出したいか、そうでもないかで分かれる。 ケトンを出したいならば、中鎖脂肪酸を主力にしたい。 となるとココナッツ油だ。リットル2000円と一般の植物油に比べて 下手をすると10倍近い値段になるが、 油にかかるコストなど肉や魚、野菜のコストに比べればそう気にすることもあるまい。 さらに真面目にやりたいなら、 中鎖脂肪酸を精製したMCTオイルの類もいいかもしれない。 リットル2500円とさらに高くなるが、中鎖脂肪酸の率が高く、 同じカロリーで出るケトンの量が増える。 ただ、発煙温度が低く炒めや焼きには使いないので、 味噌汁やスープに足してカロリーを増しつつ ケトンを出させるという不自然な用途にしか使えない。 この本ではマヨネーズに混ぜたり、卵焼きの溶き卵やハンバーグの生地に 混ぜる使い方を紹介している。鍋に敷く油としては使えなくても、 食材に混ぜて焼く分にはいいわけだ。

ケトンにこだわらないなら、使いにくく高いココナッツ油よりは オリーブ油を主力にすべきだろう。実際うちの主力はそうである。 この間リットル瓶を12本まとめて箱で買ったばかりだ。 カルディが扱っているラニエリはリットル1000円とオリーブ油の中では安めだが、 かなりおいしい。金が惜しかったり、 オリーブ臭が苦手だったりするなら、ボスコのピュアを主力にすればいい。 エクストラバージンと違ってオリーブ臭はしない。 スーパーで買えて便利だし、リットル600円くらいで買える。 しかし、出ないよりは出た方が良さそうだし、 しばらくはケトンが出る方向を試してみたい気はする。 まずは私が自分の体で試そう。MCTオイル買ってできるだけ無理にでも食うか。 なお、慣れないうちにあまりケトンを出しすぎると吐き気が来るらしいので、 尿ケトン試験紙を買ってケトンの量が行きすぎてないか確認 しながらやった方がいいだろう。このへんは本に書かれていて参考になる。 医者の監督下でやれとあるが、こんなのやってくれる医者そんなにいないだろうし、 自力でやる。まずは自分が実験台だ。献血行って血液検査もしよう。 そういうわけで、しばらく糖質は極力断つ。 ひつじことオタマには今まで通りゆるい糖質制限メニューで行くが、 自分が食う分は油を増強し、今までのように菓子の誘惑に負けないようにしよう。 火曜の外食は行くとしても単品注文だな。なじみなので、「ちょっと実験中なんですよ」 的な感じに言えば話も通りやすかろう。さようなら、そば。

あとは加工食品の消費量が上がってよからぬものを体に取りこむ危険が増す という問題もある。ハムやソーセージが体にいいかはかなり怪しい。 妙にピンク色をした肉は体に悪そうだ。 しかも普通に買うと安物になるので、なおさら気になる。 それと、焼いて焦げ目がある魚や肉には発癌性があるという話もある。 もし気にするなら焼きよりは煮たり蒸したりオーブン焼きにしたりすべきだろう。 ただ、魚の干物がしょっぱすぎてメニューから外れるので、 焼きによる焦げの問題はあまりなくなるかもしれない。

あとは、無視してはいけないのが、炭水化物はうまいということだ。 明らかに依存性がある。二週間くらいは、食べても満足できず、 ずっと炭水化物のことばかり考えるような状況に陥りやすい。 ここのケアは大切で、エリスリトールを使って菓子を作るとか、 ふすま大豆パンやこんにゃく麺を使うとか、そういう姑息な手も うまく使った方がいい。長く続けていれば依存症が軽減してくるし、 それが自分の体に良いことも体でわかるようになるので、 そういう代替食品なしでも過ごしやすくなるだろうが、 世界には誘惑が満ちあふれているのであって、 ガス抜きの必要がなくなることはまずない。

そして最大の問題が手間と金だ。 米や麺、パンで腹を満たせないので、同じ満腹感を得るために 料理せねばならない量が増える。これがコストと手間に効いてくるわけだ。 そこで、手間なく食える食品を何かしら備蓄しておくことが重要になる。 ナッツ、チーズ、豆腐、納豆、あたりがその点良い。 こいつらをうまく活用して料理の必要量を削るべきだ。 うちのように自力で大豆粉パンを焼けるのであれば、それも選択肢に入る。 売られている糖質制限パン、糖質制限パスタの類は コストがかかりすぎるので、これらに頼るのはできれば避けたい。 料理が油まみれになるので、それほどの量を食べなくても 必要エネルギーはとれるのだが、 糖質主体だったころの癖でつい腹一杯食べてしまうということはある。 野菜によるかさ増しも一つの手段だろう。キャベツともやしはそのための 最高の手段になる。また手間に関しては、食材の調達や保存の効率化、調理法の効率化、 といったものも併せてやらないとうまく行かない。 うちは先行しているが、あまりに極端なので、 一般家庭である実家の実情に合わせて設計しなおして提案しないといけない。 まあうちの親二人は理解が早くて、江部本を読ませたらあっさり理解したので、 たぶんどうにかなるだろう。

ひつじこがまた体調を崩した。吐いている。膵臓に問題があるのか、 単にココナッツミルクの食いすぎでケトンが出すぎたりしたのか、 あるいは脱水か。とりあえずココナッツミルクは食いすぎだ。 朝はタイカレーで、ココナッツミルク缶の半分くらいは食っている。 400g缶で油脂率16%だと、64gの脂肪だ。その半分食べれば32gである。 そしてその後、ココナッツミルクをコーヒーに混ぜて飲んでいた。 これも結構な量だ。そしてその後、ココナッツミルクでカスタードクリーム 的なものを作って食べていたようだ。オタマのおやつなので、 ひつじこがどれくらい食ったかは知らない。 でもまあ、この程度でケトンが出すぎということもないか。 ケトン食の人々は毎日1000kcalをMCTオイルから取ってたりするらしいし。 100g以上だ。あと考えられるのは、ゆうべセブンイレブンの 抹茶モナカアイスを食ったことか。久しぶりにまとまった糖質が入ってきて、 脂肪を燃やす回路が少し抑えられたかもしれない。 そこに大量の中鎖脂肪酸が入ってきたのでケトンが増えすぎた、 ということはありえなくもない。 でもまあ、ないな。オタマとシノンから風邪をもらい、 私がガンがらみで家にいても家事をせず、 家にいない事も多いために疲労がたまっていて、 またこの前怒らせて体調を崩したことがまだ後を引いている、 というくらいのことだろう。休ませろ、ということだ。

しかし、月曜までに術前化学療法にするか術後化学療法にするかを 選ぶ材料を揃えて家族に説明せねばならん。 場合によってはセカンドオピニオンをもらう先を決めねばならないし、 また、糖尿病の先生に糖質制限のことをどう言うかも考えておかねばならない。 体調が悪いとわかっていれば今日の外出はなしにしていたのだが。

正直、決めようがない。ただ、私が自分でやるなら術前かなあという気はする。 術前に抗癌剤をやっておけば、手術のせいで癌が散る危険が軽減する。 さらに、肺癌に対しても抗癌剤は牽制になるだろう。放置することにはならない。 肺の非小細胞癌の場合、腺癌であれ扁平上皮癌であれ、 使う抗癌剤は現状同じものだ。しかもシスプラチン+ドセタキシルで、 術前化学療法をシスプラチン+5FU+ドセタキシルでやるなら これが肺癌に対しても効くことを期待したくなる。 3剤使うと副作用が増えるのが怖いが、この組合せを採用する医者は多い。 仮にドセタキシルが後になっても、それは食道癌の再発防止にもなるだろう。 また、術後化学療法にも怖さがある。 まず、術後は体力が落ちているので抗癌剤治療を完遂できるかがかなり怪しくなる。 なにせ期間が長い。胃癌のやり方に沿うならTS1を1年とかだ。 しかも飲み薬で在宅なので、辛くてちゃんと飲んでない人もたくさんいるだろうし、 積極的に忘れることもあるだろう。 「手術したんだし、大丈夫だよね?」的な心理も茅生えやすい。 術前は入院でやるのでそういう問題も起きない。

ただ問題は、糖尿をどうにかするまで始められず、 その間放置になるのが本当に大丈夫なのか、ということだ。 これに関してはケトン食に近いレベルで糖質制限して 肥満と糖尿を解決して体力もつける、という虫のいい可能性に賭けたくもなる。 今までそこそこカロリー制限をしていたのに痩せず、HbA1cもさして落ちなかった という事実からして、糖質制限以外の手段で糖尿をどうにかできるとは 思えない。糖尿のまま抗癌剤をつっこむことの危険は さんざん言われた通りで、できれば避けたい。これは手術も同様だ。 食道癌の手術は手術関連死がかなり多く、悪条件はできるだけ削っておきたい。 脂肪が多いと手術そのものが難しくなると言う医者もいるし。

にしても問題は糖尿病の医者に何て言うかだな。 「馬鹿なことをするな」「そんなことをするなら他へ行け」 的なことになると厄介だ。しかし入院中も多少は配慮してもらわないと キツすぎるので黙っているわけにも行かない。 抗癌剤治療中に食欲がない時には輸液でどうにかすることになるんだろうが、 それがブドウ糖主体だと台無しだ。血糖が上がって、下げるために インスリンをつっこむ、みたいなマネをされたくない。 イントラリポスとかを使ってくれるものか聞いておかんといかん。 もちろん食事も配慮してくれればもっといい。 食道の医者みたいに有無を言わせず3分で終わり、 みたいな医者だったとしてもちゃんと食い下がって問い正さないといかんな。 不意をつかれないように覚悟をしていかねば。 食道の医者も、次の時にはちゃんと質問をせねば。

なお、アドバイス募集中。

今日のタイカレーのレシピメモ。適当ににんにくとおろした生姜を炒める。 少しターメリックとコリアンダーを入れた。 油はオリーブ油。にんじん、こまつなあたりをつっこむ。 別途暖めておいたココナッツ缶を入れる。 ナンプラーおよそ10ml程度。 塩漬け豚肉を薄切りにして入れる。全体が70度になったら子供用完成。 加熱が過ぎると肉が固くなるので注意。 オタマとシノンにはこの状態で食わせる。 大人は別途グリーンカレーペーストを軽く炒めて混ぜる。 ペーストに塩が入っているので、量には気をつける。 子供用の段階で薄めにしておくのも重要。

2014年05月09日

癌のことが気になってまるで仕事にならん。でもまあ、周りに言ってあるしいいだろう。 仕事は後で埋め合わせればいい。

弟の食道腺癌の件。ステージが3なのか4なのかよくわからないが、大きさは3で、 遠隔転移があり、ということであれば4になる。 リンパ節転移のみなのであれば3だが、よくわからない。

日本人の食道癌は、大半が扁平上皮癌で、食道の真ん中あたりにできる。 原因はほとんどが飲酒。とりわけ、 顔が赤くなるタイプの人はこの癌になりやすい。 熱いものを飲む、喫煙、といったものも原因として知られている。 しかし弟は腺癌である。胃に近いところにでき、細胞の性質としては胃癌に近いようだ。 放射線が効きにくく、選択肢からは外されている。 原因として考えられるのは、慢性的な胃液の逆流。肥満の人に多く、 白人男性で多く見られる。

で、医者から提示されたのは、普通の食道癌と同様 手術前に抗癌剤である程度叩くか、手術後に抗癌剤を使うかの選択肢だ。 日本の大規模試験によれば、前にやる方が生存率は高い。 ただし、その大半は扁平上皮癌である。 腺癌には一般に抗癌剤が効きにくく、副作用のダメージだけを負う危険もあるし、 手術が遅れるので増大と転移の危険が増す。 また、スケジュールの問題もある。 手術は急いでも数週間後だ。だがおそらく化学療法はすぐに始められる。 何もしない期間は短いほど良い。 しかしその一方で、弟には糖尿があり、これをどうにかしないと手術の合併症もあるし、 抗癌剤なら副作用が問題になる。いずれにしても糖尿病はどうにかせねばならない。 もしそれに一月時間を取るのであれば、手術からやれば最速のままだが、 抗癌剤治療は一月遅れることになる。 また、弟は別途肺癌がある。こちらは小さいが、 食道癌が片づけば手術をすることになり、 そのスケジュールを考えると時間が惜しいし、 手術だけでも大変なのにさらに抗癌剤のダメージが加わった状況での手術となる。 食道癌の手術に比べれば侵襲は小さいだろうが、それでもきついことに変わりはない。

食道癌における術前化学療法は、 日本での大規模試験で術後化学療法に大差をつけた成績がある。 これが現在標準治療になっている根拠だろう。 なぜ効くのかは推測しかされていないが、 傷がついて血管が切れる前に抗癌剤を入れることですみずみまで行きわたること、 手術中に癌細胞をまき散らしてしまう危険が事前の縮小で軽減されること、 手術前で体力があるので強めの治療ができ完遂しやすいこと、 転移先を早く叩けるので再発防止効果が大きいこと、などが考えられる。 手術によって転移先が活性化することは経験的には良く知られており、 術後の回復を待って抗癌剤を入れたのでは遅い、ということはありうるわけだ。 これらの効果は食道癌に限らないはずだが、 現在胃癌では術後化学療法が標準になっている。 術前の方がいいのではないかと言われてはいるが、 大規模な試験で明らかな結果がでない限りは切り替わらない。 また、胃癌の場合は術前にやるとコストがヤバいという事情もある。 なにせ患者が多いからだ。 手術の状況次第で術後の化学療法が不要なケースもあるわけで、 術後であれば全員がやるわけではなくなるのである。術前ならほぼ全員だ。

術前にやることの欠点もある。効かない時には時間を無駄にする。 その場合は手術に本来なくて済んだ副作用付きで臨むことになり、 最悪手術ができなくなる。

2014年05月07日

ワインバーグの「がんの生物学」をずっと読んでいる。 他人事であればこれほど面白い学問もそうはあるまい と思うが、残念ながら他人事ではない。必死にならざるを得ないが、 必死になったところで結局は医者に委ねることになる。 だが、必死にならないわけにも行かない。 まずは医者が正しい選択をするために、 医者が知りえない情報を提供しないといけない。 個人の行動、性質に関することは医者は知りえないのだ。 また、どの程度今後の生活を変える気があるのか、 といったことも伝えるべきだろう。 医者は普通、患者の生活スタイルは変わらないという前提で 話を進める。それは統計的には合理的だが、個別に最適とは限らない。

腫瘍の中身の大半はガン細胞ではないという。 ガン細胞が騙して呼んできた正常細胞で、 血管を作るなどの仕事をさせている。 抗癌剤の中には、癌細胞でなく、 そういった裏切り細胞に作用するものもある。 この戦略が優れているのは、 癌細胞をいくら殺しても次から次へと突然変異して いずれはそれを克服してしまうのに対して、 騙されている正常細胞は突然変異など滅多に起こさないので 長く同じ手で妨害を続けられるし、 自殺装置(アポトーシス)が残っているので かなりいろいろな手段で殺せる。 大腸癌に用いられるアバスチンはそういう薬の一つらしい。 ただし、一ヶ月60万円かかる。 保険の支援があってすら8万円。 そして、それで治るわけでもない。

血管を作るのを邪魔する戦略は薬を使う手の中では有望だ。 癌細胞の大半は実のところ大した回数分裂する力もなく、 問題は癌幹細胞と呼ばれる少数の細胞である。 しかしこいつらはそう迂闊に分裂したりはせず、 じっと組織の中に隠れている。こいつをどうにかせねば、 いくら腫瘍が小さくなったところでいずれは薬が効かなくなる。 だが、分裂せずに大人しくしている細胞を殺すのは並大抵ではない。 放射線も薬も効きにくいからだ。 しかし、血管さえ引かれなければ、腫瘍は大きくなれない。 腫瘍が大きくなりさえしなければ、死にはしないのだ。 躍起になって癌細胞を殺そうとするよりも、 とにかく大きくなれないようにする方がよほど見込みがある。 実際のところ、放射線が効くのは癌細胞を殺すからではなく、 血管に関連した仕事をしている騙された正常細胞を殺すからなのだという説もある。 その結果血管が壊れて腫瘍が生存できなくなるわけだ。 実際、アポトーシスしにくい変異を持つ正常細胞は放射線で死ににくく、 そういう遺伝子を持っていると放射線を当てても腫瘍が小さくならないのだと言う。

まずは手術。根治できるとしたらそれしかない。 ただし、転移が疑われる場合に手術をすると逆効果になることがある。 最初の腫瘍は、何らかの手段で他の転移先の腫瘍が大きくならないように 邪魔をしているらしく、最初の腫瘍を潰すと転移した腫瘍が一斉に成長を始めてしまう、 ということがある。 また、癌の成長は傷を治す仕組みを流用しており、 細胞の足場を壊して隙間を作ったり、血管を引き込んだり、 細胞と細胞の接着を弱めて動けるようにしたりする。 手術の傷を直すためにそれらの機構が動き出すが、 これが残っている癌細胞を助けることになるわけだ。

死因の大半は転移によるわけだが、転移して増殖できる割合はかなり低い。 ただ、転移する細胞の数がべらぼうであればそれが成功する確率は上がるし、 一旦成功すれば、成功した細胞がさらに転移を起こすことで、 転移の成功率が劇的に上がる。すでに転移に成功するだけの能力を得た細胞だからだ。 つまり、最初にバラまかれた段階では、転移に成功するための 能力を持っていないことが多いわけである。 また、一旦どこかで増殖できる能力を得たとしても、 他の臓器でも増殖できるとは限らない。大腸癌から肺や肝臓に転移してできた 腫瘍を手術で取ったところ、明らかに体中にバラまかれているはずなのに なかなか再発しない、という例があったという。 これは、ある臓器で増殖できる能力があるからと言って、 他でもやれるというわけではないという証拠になる。

こうしてワインバーグを読んできたわけだが、これによれば近藤誠理論は明らかに間違い ということになる。近藤氏は転移できるかどうかは最初から決まっていると言うが、 ワインバーグによれば転移する能力は後から学習する能力だという。 これは、良性腫瘍であってもいつ悪性に転じるかわからないということでもあり、 とりあえず見つけたら取っておけということになる。 近藤理論とは真逆の結論だ。 大腸のポリープを見つけしだい取っていた患者は、 放置した患者よりもガンになりにくいという例も示されている。 ただ、近藤氏の理論は一種の近似であり、厳密なものと考えるべきではない。 手術のデメリットを重く見るならば、それだけ天秤は手術しない方に傾く。 転移能力や悪性化が次第に得られるものだとしても、 「どの程度次第に得られるのか」は場合による。 ワインバーグにも、ガン細胞がある種の性質を持っているとタチが悪い、 という例が多数出てくる。これがガン発生後に得られた性質か、 発生した瞬間から持っていた性質かは場合により、 後者であることや、そもそもその人の遺伝子の個性だったりすることも多い。 近藤氏がそのようなケースを多数と考えれば、 「手術すんな」という結論になることも合理的ではありうる。 しかし、「ありうる」というだけで、実際にそうだとは考えにくい。 手術しすぎていたり、抗癌剤を使いすぎていたりするのはたぶん事実だろうが、 それらが有益であるケースは確かにあるだろう。特に手術については。

転移が成功するのを助けるようなことを患者の体がやっていることもある。 怪我をしたり、炎症を起こしたりすると、 そこが癌細胞にとって居心地のいい場所となる。

骨は作ったり壊したりが激しい臓器で、活発に細胞分裂している。 それだけに血流も栄養も豊富で、癌細胞が辿りつくと大変なことになりやすい。 骨転移は運動能力を奪い、苦痛も激しい。前立腺癌と乳がんは骨転移しやすい。 最初にできた癌の場所によって、どの臓器に転移しやすいかは変わる。 血流の経路の影響と、適応しやすさの影響の二つによる。 肺転移と肝転移が多いのは、血はその2つの臓器を必ず通り、 かつ、毛細血管で癌細胞がよく引っ掛るからだ。

癌の免疫療法には胡散臭さを感じていたが、 免疫が癌抑止に役立っているのは確かなようだ。 臓器移植を受ける人は免疫抑制の処置をされるが、 こういう人には癌が多発するのである。 ウィルス性の癌にかかりやすくなるだけではなく、 普通の癌にもかかりやすくなるのだそうだ。 免疫が強く働いている人は、癌にかかりにくいと言えるだろう。 ただし、癌になってしまった後で免疫を強化して効果があるかはわからない。 そのような癌は免疫にやられないような進化をした後かもしれないからだ。

免疫がそれほど万能ではないのは、 癌細胞が元々正常細胞だったからだ。似ているので、異物と思われない。 変異が溜っておかしな蛋白質がたくさん出来てくれば異物と認識されやすくなるが、 その頃には免疫に殺される以上の速度で増殖してしまうかもしれない。 また、遺伝子の変異なしで癌になる方法もある。 特定の癌抑制遺伝子を使用不能に陥れる(プロモータ阻害)ことによる癌化の場合、 おかしな蛋白質はできない。 さらに、普通の細胞には中にできた変な蛋白質を 細胞表面に出して異物認識させる機構があるが、これを壊してしまう手もある。 骨転移した癌ではそういう手が頻繁に使われている。 また、免疫に異物認識されても、殺されない方法がある。 普通免疫による細胞の殺傷には、「死ねシグナル」による方法と、 物理的破壊による方法がある。 「死ねシグナル」を受けても死なないようになれば、前者は効かない。 過酸化水素による物理的破壊も、活性酸素に対する防御機構を強化すれば対抗できる。 そういうわけで、現在の技術では、「多少は効くかもしれないが、効くとは言えない」 というレベルである。それだけに保険も効かず、金もべらぼうにかかる。 副作用が出にくいのが救いなので、金が無限にあるのであればやって損はないだろうが、 インチキ医者がはびこっているのでまともに治療を受けられる公算はそう高くない。 副作用が出にくいことが、 インチキがはびこることに一役買っているというのも皮肉である。 そういうわけで、現状は「健康になることをする」に勝ることはないように思われる。 体にいいものを食べ、血糖の乱高下を避け、運動をし、血流を良くする。

免疫療法の中で、ナチュラルキラー細胞(NJ細胞)という免疫用の細胞を大量に増やして 体に戻す手法がある。NK細胞は普通の異物認識とは違う方法で 有害な細胞を殺せるので、原理的には効くはずだが、 実際に意味があるほど効くかどうかは、 NK細胞の数と、NK細胞が癌まで到達できる数と、癌のNK細胞との相性で決まる。 現状すごく効くという証拠はない。そして、べらぼうに高い。

NK細胞は、細胞表面に何も出していない細胞は怪しいとして殺す。 また、細胞には「ボクヤバいです」というシグナルを細胞表面に出す機能があり、 これが出ている細胞を殺す。コンビニの外側にある非常ランプみたいなもので、 そのランプがついていれば異常とわかるわけだ。 癌細胞が免疫の攻撃を逃れるには、「ボクヤバいです」シグナルを止め、 かつ、正常細胞でも作っているタンパク質を表面に出しておく必要がある。 ただし、他にも手があって、おとりシグナルを大量に出して惑わせるとか、 血小板を鎧のようにまとって血管の中を移動して逃れるとか、 免疫細胞に反撃して殺してしまうとかいう手もある。 癌細胞の進化は凄まじい。

ワインバーグをとりあえず読み終えた。治療の章が最後にあるが、なかなか辛い。 手術以外の治療法の進化は全く不十分だ。 望みがあるとすれば、遺伝子の検査によって、 やっても意味がない治療をせずに済むケースが増えるだろう、 と予測されることくらいだろうか。 それによって貴重な時間を無駄にしたり、 いらぬ副作用で寿命を縮めたりすることが減る。 病理医の勘や経験に頼るところが減るのもいい。 また、分子標的薬の類が増えてくれば、 比較的マシな副作用で時間稼ぎができるようになるし、 いずれ特許が切れれば安くもなるだろう。グリベックは効果の大きい薬だが、 現状金持ちでない限り長くは続けられないほど高い。 また、治すことでなく、悪化させないことに主眼を置いた開発に シフトしていく可能性もあり、場合によってはガンをエイズのように 「薬が買える限り死なない病気」 にできるかもしれない。しかし、治るようになる公算は低い。 癌は予防すべき病気であり、治療すべき病気ではない、 というようになるのが正しい未来だろう。 癌になる仕組みは私が思っていたよりもずっと詳しく理解されており、 治療でなく予防に研究資源が振り向けられたならば 今よりもずっと予防は簡単になるはずだ。 そして、慢性病である癌の性質上、それは治療としても多少の効果は 上げてくれるだろう。

だが、癌は現在起こっていることだ。医者に現在最良の治療をおねがいした上で、 今こうして得た知識から最良の生活を考え、実践するしかない。

私が政治家であれば、癌の治療は大した問題ではないと考えるだろうな。 癌の大半は高齢になってから表れる。だからこれを予防したり治したりしても、 平均寿命は大して伸びないし、人的資源の損害をそれほど軽減できるわけでもない。 仮に何か手を打つにしても、すでにして喫煙、 飲酒、肥満、糖尿といった主要な要素はわかっており、 これらを除けば大きな予防効果がある。 治療の進歩に期待するより、その方がずっと安い。 つまり、癌の克服に国が取り組む動機はあまりない。 しかし、個人個人にとってはそう簡単な話ではなく、 それゆえに大きな市場であり続けるだろう。 老衰や心不全、脳出血などと違って、癌は時間をかけて進行していく病気だ。 治したいと思うのは自然なことであり、 当然そのためにはお金をかけてもいいと思う。

医療費控除は生計を一にしてないとダメか。 私が払うことにする、というわけには行かないわけな。 私が家に仕送りしてそれで生活している場合は別居でもアリらしいが。

癌の治療は最終的には、癌が新たな手を繰り出しても自動的にそれに追随して 増殖を妨害する、そんな治療になるんだろう。 いくらうまく弱点を突いても、どうせすぐに対策されてしまうわけで、 人間が一つ一つ弱点を突く方法を編み出していてはダメなのだ。 その意味では、免疫療法には可能性がある。 いずれは主力の治療法になるのかもしれない。

豚、牛、羊をフライパンやグリルで焼くといけないものができる。 また、これらの肉が調理後ピンク色になっていたら 亜硝酸と反応していけないものができている証拠であるという。 これは困った。ハムやソーセージがアウトになる上に、 肉は煮るか蒸すか、せめてオーブンという話になる。 鶏を増やすかなあ。

2014年05月05日

3日はひつじこ実家。ひつじこ妹もいて、子供が4人。すごいことになっていた。

4日は子供達は動物園。だが私は一人福島へ。弟のガンの件がある。 一応参考になりそうな本を伝えたり、 とりあえず糖尿をどうにかしないと手術後がヤバげなので 糖質制限の紹介をしたりした。で、今日は生協が来ていたので帰ってきて 冷蔵庫に片づけた。 ひつじこ達は明日の朝帰宅予定だが、調子が悪そうだし、 オタマのいとこが高熱を発しているのが不安だ。 生協が腐ってもいいから合流すべきだったか。 8日は診断と治療方針の説明があるので病院へ同行する。

アルファグルコシダーゼ阻害薬とDPP4阻害薬。 SU剤はないので、理屈上糖質制限をしたことで低血糖に落ちることはないはずだが、 医者じゃないから厳密にはわからん。 糖質制限の度合が緩ければたぶん大丈夫だろう。 よほど気合を入れない限り一日100gを切るレベルの糖質制限にはならず、 そのレベルならそれほどヤバいことにはならない。 血糖値測定器があれば食後血糖を見て薬を止められるだろうが、 そのへんは医者に相談だな。

オリーブオイルギトギトの卵炒めと、 ココナッツオイルギトギトの鶏肉野菜炒めを作って食わせてみた。 フライパンが小さいのでさすがに油を少し減らさないとダメだな。 あとココナッツオイルは臭いがココナッツすぎて母が食わないので、 臭いのないココナッツオイルが手に入らないようであればダメだ。 まあオリーブオイルで良かろ。

それはそれとして、ケトンが出るくらい偏った食生活をして どうなるかを自分で実験するくらいはしておいてもいい気はする。 一度やっておけば、それが必要になった時に役立つ。 糖質制限はともかく、ケトンが出るレベルとなると私一人でやらねばならんが。

エッグノッグという飲み物が北米にはあるらしい。

2014年05月01日

紀文の糖質ゼロ麺がなかなか良い。 挽肉そぼろと和えて食べた。

挽肉は細かくしすぎるとうまくない。 ミンチにする時の回転数は上げすぎない方が良さそうだ。


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