ギャルゲーというやつら

注:この中の用語は私が勝手につかっているだけです。断じて一般的なものではありま せん。

言葉通り、かわいい女の子がワラワラでてきて、それをどうにかするゲームの 総称です(私がそう決めました)。「恋愛シミュレーション」という言葉も聞きますが、 あの手のものほど「シミュレーション」という言葉があわないジャンルも そうない気がします。男の願望というものを徹底的に 分析して「罠」をはるという何ともすさまじい作業が必要になります。

「絵」の重要性が極めて高いのもこのジャンルの特徴でしょう。 とにかく「かわいい」ことは必須です。絵がかわいくなければ、(色っぽい含む。) そのゲームが売れないことは火を見るよりも明らかです。その点、もっとも ルールの価値が低いジャンルのひとつだともいえます。 また、近頃では音も重要さを増しています。 なにしろ、声優を雇って声をいれるのですから、声がかわいくなくては 話になりません。

また、「どうにかする」のレベルも最近は多様化しています。昔は ギャルゲー=エロゲーだったようですが、 最近はそう生臭い要素のないものも多くみうけられます。これは、なぜか ギャルゲーがすこしづつ市場の規模を増しており、対象年齢層を多様化していることが 影響しているののかもしれません。 なにせ、家庭用ゲーム機でまで発売が相次いでいるのです。

失礼ながら、まるでゲームの底辺ともおもわれるギャルゲーですが、 メジャーになって来るにしたがって、少しづつ毛色の違うものが出てきました。 エネルギーをそういったギャルゲー的要素よりもむしろシナリオや演出に注いだ ものや、 キャラクター(女の子のほうが分かりやすいですが)の作り方で 少し違ったものが目につくようになってきたように思えるのです。

シナリオ系ではやはり「EVE」がメジャーでしょう。まあ、良くできたと いってもけっこうむちゃなものですが、シナリオをうまくキャラを立てる道具にし、 演出に凝ったり、少し新しいルールを導入したりして、「違った」 ギャルゲーになっています。このシナリオを書いた人はそういう傾向が 強いようで、「YUNO」などでも一歩進んだルール作りと演出でなかなか見事な ものをつくり出しているようです。 これらをギャルゲーと呼ぶのはギャルゲーの定義にもかかわる問題ではありますが、 ここでは深く考察するのはやめます。 また、べつの文書で嫌というくらいほめるであろう「雫」「痕」 「MOON.」「ONE」 などもシナリオ(キャラクター描写の文章を含む)重視型と言えるでしょう。

普通、ギャルゲーというものは、やる人の好みが多様であることを想定して 複数の性質のキャラを用意します。このときに重要な役割を果たすのが、 「属性」です。この「属性」を複数のキャラに割り振り、組み合わせて キャラの原型を作ります。これはべつにギャルゲーに限ったことではないのですが、 ギャルゲーにおいてはとくに重要な意味をもちます。というのも、 属性によっては、何の肉づけもなくただその属性だけによって 特定のプレイヤーを引き込みうるからです。例えば、「ねこみみ」 「眼鏡っ子」「つるぺた(幼児体型を指す)」「メイド」「巨乳」などの属性は それだけではまる人間が数多くいるという必殺属性です。ただし、それだけに あざとくなりすぎて失敗するケースも多いでしょう。また、「元気」「無邪気」 「おねえさま」「おしとやか」「ボーイッシュ」などの比較的普通に用いられる 属性は、うまく組み合わせることでボディブローのように効いてくる キャラ設定が可能になり、あまりあざとさを感じさせない補助属性として重要です。 また「おさな馴染み」「義理のきょうだい」などの社会的属性も、組み合わせ いかんで破壊力を発揮します。少し変わったところでは「おにいちゃん」属性 などというものもあります。これは別に兄なのではなく、(そりゃあそうだ) 主人公を「おにいちゃん」と呼ぶという意味です。このときにミソなのは、 主人公と血のつながりがないことです。ここで血のつながりがあると、 せっかくの「背徳性」および「非現実性」 が失われるからです。たとえば、そのキャラが極端に年下で 兄のように慕ってくるとか何らかの理由をつけて、 そう呼ばせます(そう呼ぶことが重要な意味を持ちます)。凄い例だと、 全然血のつながりのない子が小さいころに一緒に住むようになって、 そのとき同い年にもかかわらずそう呼んでいたのが習慣としてのこっている、 なんてのもあります。この場合、同い年でクラスメートな他人をそう 呼んでいるわけで、この設定のあざとさたるやすさまじいものです。それだけに かなりの効果があったようで未だに根強い人気があります。(もちろんそれだけでは ありません。かなりよく「かわいさ」を研究しています。実際、私だってかわいい とは思うのですし。)

ここで、少し違った例として「ONE」をあげてみましょう。なにしろ、このゲーム のキャラの属性は変です。まず「おしとやか」。これはたいてい「料理」 や、「ロングへアー」属性と併用されることが多く、このキャラもそれに ならってはいるのですが、その後が「たべものに異常な執着」「特定味音痴」 です。これはなかなかできません。ささいな欠点によって親しみを出す伝統的手法の 一つといえないこともありませんが、多少逸脱しています。これは普通ギャグキャラ 用の設定です。また「盲目」「口がきけない」などの障害系の設定を持つキャラ を導入するなどは、まさに異端といえるでしょう。「病弱」属性の変形と いえないこともありませんが、少し強力すぎます。これは、普通に売ろうとして 作ったとは思えないゲームの一例です。

ここ2、3年のギャルゲーの勢いはすさまじいものがあります。 有明のコミケ会場におけるその勢力は私に恐怖すら感じさせるほどです。 家庭用ゲーム機に移植され、またはそれ専用に作られ、 さらにはアニメ化までが現実のものになっています。 5年前には想像もできませんでした。 しかしながら、日本人というのは古代からそういう傾向があった気もしますので、 なんら不思議なことではないのかもしれません。 おそらく外国の人に理解されることはそうそうないでしょう。


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