まじかる☆アンティーク感想(Ver.1)

リーフが普通になって2作目の作品、と言うと悪意がありすぎるでしょうか。 しかし、「魔女」で「骨董品」といわれてかつての濃いリーフ色をもつもの を想像する人などいないでしょう。 そんな印象をもった状態で始めたわけですが…。

なお、この段階ではスフィーシナリオのLV1、LV3、LV4となつみシナリオしか 終えていません。店の総売りあげは最大で2400万です。 もし機会があればさらにやりこんでから改訂しようと思います。

ストーリー

魔法の国から魔女が来ていっしょに骨董屋を経営する話で、 こうはしょって書くと何がなんだかわからないストーリーです。 要はやむを得ない事情で主人公と魔女が一緒に暮らすことになり、 主人公の家に住みこみで魔女が働いているうちに いつしかそういうことになっていきます。 見事に状況を作るためにデッチあげられた設定といえるでしょう。 もちろんそのへんは前提でお約束ですから気にすべきではないのですが、 「体が幼くなると精神もそれに引っぱられて幼くなる」といった類の都合のいい説明 がかなり多く、言わなきゃいいのにと思うことがあったのも事実です。

さて、この作品は経営シミュレーションにストーリーがついたもので、 その重みはむしろ経営シミュレーションの方にあります。 そういうわけで、ストーリーといっても日々おこるイベントの集合体にすぎず、 一貫した流れはあまり感じられません。 そういうわけで、ストーリーで評価を決めてしまうのもあんまり といえばあんまりでしょう。 とはいえ、日常起こるイベントがあまりに印象が薄く、 キャラに深みを感じさせる要素も世界観を感じさせる要素もめったにありません。 おいしいシチュエーションに価値を見いだすにしても、 そういうことになるのはかなり後半、というかラストに限られますし、 おいしいと言ってもたかが知れています。 しかしながら、全般に出来が悪いわけではなく、 けなすにもけなす根拠があまりありません。 いうならば普通なのです。

ただし、例外が一つ。痕や雫を手がけた高橋龍也氏のシナリオがまざっているのです。 さすがに高橋氏だけに薄いシナリオではなく、 そのために妙に浮いています。一貫したストーリーの流れがあり、 キャラの心の変化の描写は他のシナリオとは 比べものにならないほど出来がいいのです。 設定のためか展開そのものは陳腐になってしまってはいますが、 いろいろな伏線をからませて見事に話を締めているあたりは 見事と言えるでしょう。 また、エロシーンもシナリオの流れやキャラの心情に矛盾しないように つくられており、何よりも「エロい」です。 メインのシナリオライターはそのへんの経験が浅いようで まるでいやらしさを感じませんが、高橋氏の方はさすがというべきでしょう。 そういうわけでなつみシナリオは全般に出来がいいのですが、 脇役キャラ(このシナリオで、の意)の性格が どうもいいかげんになっていたり、設定が他のシナリオを違ったりしていることが 若干気になります。 もっとも他のシナリオがそもそも薄いためさほど気にならないので、 このシナリオをこそメインと言ってしまってもいいでしょう。 ただし、私は秘かにヒロインをけっこう気にいっているため、 その性格がいいかげんになっているのがけっこうひっかかってはいます。

文章

普通です。奇をてらったことをしない人のようなので 妙に浮いた表現があったり、やりすぎで興覚めといったことは少ないですが、 衝撃を与える表現もまた少ないです。 ただ、妙に同じ表現を何度も使うクセがあるので、 それが少し気になりはしました。これはとある奴が言っていたことですが、 「スフィーらしい」という表現は汚いのではないでしょうか。 一回だけならそれもありかとおもえたのでしょうが。

キャラクタ

箇条書きにしてみましょうか。

キャラ設定は基本通りで、シナリオが進んでもその印象は 典型的な範囲を出ませんでした。例外は高橋氏の書いたキャラだけです。

しかしながら、ヒロインのガキっぽさはなかなか秀逸なレベルだと言えます。 体の成長段階に応じていくらか性格も大人っぽくなるのがおもしろいですし、 やっぱりそれが「いくらか」で所詮おこさまな性格をしているあたりも 微妙です。好みの問題ではあるでしょうけれども。

ルール

骨董を仕入れて、売る。これが基本ですが、 その売れゆきや、店に置ける数、さらに品物の劣化速度などが ヒロインの成長段階に依存します。 つまり育てゲーでもあるわけです。 店のパラメータとヒロインのパラメータが3つづつあり、 ヒロインに3つの行動(整頓、掃除、接客)のどれをやらせるかで どのパラメータが上昇していくのかが決まります。 日曜から金曜までそうやってスケジュールを決め、 土曜は市場で仕入れたり、ヒロインと遊んだり、誰かに会いにいったりします。 まさにプリンセスメーカーで確立された方式そのもので 目新しいことはありませんが、なかなかバランスはとれており けっこう楽しめます。 定跡がわかるまで3〜4回はやる必要があるでしょうから、 単純作業になるまえにたいがいのエンディングを見ることはできるでしょう。 また、レアなアイテムも数多く設定されており、特殊な効果があったりもするので 収集癖のある人はより楽しめるかもしれません。 さらにエンディングを迎えた段階での店の状態は保存され、 ポイントをつけてランキング化されるので、 どこまでもうけられるか挑戦するのもなかなかおもしろいでしょう。 基本的に経営が成りたたなくなるくらい追いつめられることがまずない難易度で、 ぬるいといえばぬるいのですが、そこはランキングの存在もありますし、 なによりこれはギャルゲーであるということで問題なしとします。

ただ、こういうものの常として、定跡は必ず見つかってしまいます。 それさえ見つかればあとはたやすいもので、後半は放っておいても 繁盛するようになってしまうのです。 こればかりはシステムの複雑化以外に解決策がそうはなく、 それはこういう複合ジャンルゲームにおいてはバランスを崩すことに なりかねないので仕方ないのかもしれません。

なお、快適さに関わる部分はほぼ合格点です。 やけにアニメーションするわりには速く、 マウスの右クリックで飛ばせるので気になりませんし、 メッセージスキップもあります。 もちろん完全とは言えませんが、そのへんのものと比べれば 十分と言っていいでしょう。 ひとつだけ挙げるとするならば、右クリックをメッセージスキップにも 使えるようにしてほしかったというくらいでしょうか。

ロリですが、普通にかわいいです。特に印象に残ることはないにせよ、 プレイの障害になることもないでしょう。ロリがイヤでなければですが。

なお、特筆すべきは異様なアニメーション量です。 小さいキャラがなにかと動きまわります。 ただ、この小さいキャラを描いているのは原画の人(はぎや氏)ではなく (ろみゅ氏)、これがまたかなり似ていないのです。 これはこれでかわいいのですが、 さすがに似ていないというのはけっこう問題かもしれません。

音楽は普通です。悪くはないし、むしろいいのでしょうが、 まあ普通と言っていいでしょう。 ただ、これは音楽だけをじっくりと聞いての感想ではなく、 あくまでBGMとしてどうかという話なので誤解なきよう。

なお、テーマソングが2曲入っていますが、普通にちゃんとしてます。 たぶんいい曲なのでしょう。歌も下手ではありません。

全体で

ちゃんとしたゲームです。プロの仕事でしょう。 ただし、ちゃんとているだけに爆発がありません。 普通におもしろいゲームとして私の心に刻まれるでしょう。 正直言えば、ヒロインのどれかのエンディングと、 高橋氏が描いているなつみシナリオだけやれば事足りるのではないでしょうか。 とにかく、「おもしろかった」と言っておきましょう。

もどる