「ダブルキャスト」感想

弟が借りていたのでやってみましたが、なかなかおもしろいものです。 「やるドラ」の名に恥じない出来でした。しかし、動画になって声がつこうが、 所詮は選択肢付き小説の発展版にすぎないわけで、 根本的に新しいというわけでもないのではないかという気もします。

ストーリー

主人公は大学の映研部員。コンパの帰りに記憶喪失の少女と会い、 同居することになってしまいます。 そして学園祭用の映画を撮ることになったのですが、いわくつきの作品だけに、 主演女優がみつかりません。そこでその少女がその役を務めることになります。 こうして物語は始まるわけです。

なんといってもこの作品はストーリーが売りでしょう。 選択肢の選び方によって、えらく話が変化します。 まともに終わるエンディングが4つ、何もわからないまま終わったり、 殺されたりするエンディングは十数個もあり、なかなか多様です。 最初は想像もつかないような心理サスペンスものになるあたりは 結構驚きました。ここでは必要以上の内容の暴露は避けるようにしていますので 詳しくは書きませんが、どう殺されるかが結構楽しみになったりします。

おまけシナリオも充実しており、そこそこ楽しめますが 他の作品の宣伝になっていたり、本編とまるで人格が違ったりして やはりおまけの域を出てはいませんでした。ないよりいいですけど。

脚本

よくできていますが、強い印象はありません。 キャラクターも普通です。 意図的にキャラを立てようとして作ったキャラが2人ほどいますが、 あざとい上にありきたりなのでどうでもよかったです。 台詞もさほど洗練されているようには思えません。 しかし、だからといって出来が悪いわけではなく、 ストーリーのおもしろさを損うことはないでしょう。

ルール

選択肢付き小説です。小説がアニメになってはいますが根本的には何も変わりません。 ただその選択肢がかなりくせもので、どこの選択がどこの分岐に効くのかが 相当わかりにくくなっています。攻略情報なしで最重要エンディングを見るのは 至難の技でしょう。一見どうでもよさそうな選択肢が効くことがとても多く、 試行錯誤が必要になります。そんなことに無駄な努力をしても仕方ないですし、 攻略して楽しむゲームでもないですから、ある程度やったら素直に攻略情報を手に いれることをおすすめします。

一応、いくらかエンディングを見ると途中のポイントから始めるオプションが 出たりはしますが、一度エンディングまでいってセーブすると最初まで戻される上に、 クリア情報を共有するセーブデータがまったくないので、 まさしくやる回数だけ最初から読むことになります。 ここはなんとかしてほしかった所です。

また、動作速度はやはり遅いです。 動画、音声データは膨大ですからやむを得ませんが、 もっと速かったらと思うことが何度もありました。 これはプレステの性能のせいでしょう。

動画

キャラクターデザインが売れっこの「ごとうけいじ」な上に、 かなりきれいな作画です。アニメとしての出来はいいでしょう。 動きもゲーム機であることを考えればまあ合格点です。 私は彼の絵は好きではないですが、嫌いでもないので問題にはなりませんでした。

音楽、音声

テーマ曲は耳にこびりついています。それ以外はまったく記憶にありません。 しかし、一曲でも覚えられれば本懐ではないでしょうか。

声に関しては、豪華声優陣というだけに演技に不安のある人はいませんでした。 ヒロインの変化も本当に同じ声かと思うくらいいい感じですし。

全体として

おもしろいゲームです。エンターテインメントとしてはなかなか上等 なものだといえるでしょう。しかし、私としてはインパクトのなさが 欠点に思えて仕方ありません。とはいえ、 まあまあ良くできたゲームよりもバランスの悪い どこか突出したゲームが好きな私の言うことですので、 あまり気になさらぬよう。


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